484：ギャルと特別な了解 ページ34
彼を待っていた。
心の奥底で、彼ならばとAは待っていた。
情や愛や信頼など何もない。
彼は、呪いの王であるのだから。
だけど、それが分かっていて尚願ったのだ。
「助けて」
と。
静寂。
場に似つかわしくない静寂が辺りを包んだ。
宿儺は、暫くAの顔を見たまま黙っていた。
彼の脳に数千年前の記憶がはっきりと再生されたからだった。
まるで、頭の中にある幾つもの引き出しが、的確に一つだけ開けられたように。
たった一つの記憶が確実に再生される。
数千年前も、こうやって泣き腫らした顔で見上げられて「助けて」とたった一言だけ告げられた。
誰に物を言っているんだ。
俺が誰だと分かってお前はそう言っているんだ。
俺に。この俺に。赤子の手を捻るよりも意図も容易くお前を殺すことが出来るこの俺に。
お前は、それを何の疑いもなく願うのか。
心の底から腹の立つガキだ。
何でもかんでも、お前は勝手に了承も得ず俺を頼る。
全く、心底腹が立つ。
「…」
一つ息をつき、片手間に状況把握のため助けた訳の分からないサイドテールの男を宿儺は放り投げ捨てる。
そして、片膝をつくと乱暴にAの目尻を親指で拭った。
「泣くな。お前のその顔は鬱陶しい」
突然の行動に、Aは呆気に取られた顔を見せていた。
困惑しているのも束の間、宿儺はすぐにAから伏黒の方へと意識を移し体に触れ状況を確認する。
「A、」
「ぇ……あ、」
「あの“デカブツ”は、伏黒恵が展開したもので合ってるな？」
まさか名前を呼ばれるとは思ってなかったAは、宿儺の問いにワンテンポ遅れて「あ、えと、そう。…そう！」と言葉を返す。
そして一度言葉を返したのを皮切りに、Aの口から溢れんばかりの言葉が次々と漏れ出る。
「アレは、恵の奥の手みたいなもんで、それで、あの、でも恵はまだアイツを調伏してる訳じゃなくて、だから、えと、それで、」
「言うなら落ち着いて言え。この俺がいつお前のようなポンコツのガキを急かした」
「ポ…っ、」
ポンコツのガキ。
頭の中でその言葉がコミカルな文字で浮かび上がる。
ガキ扱いなんていつぶりだろうか。私、結構しっかりそれなりに大人なんですけど。と不満げに思った後すぐに、そういえば宿儺という千年前の大物からしたら私程度の人間なんて“ガキ”か。
と、妙に納得してしまうA。
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プルメリア - ありがとうございます！頑張りますね！ (2023年1月9日 7時) (
レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…！多分、宿儺のやつですかね…？まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…！ (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです！ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか？ (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです！ (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月27日 22時
