483:ギャルと駒以外 ページ33
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まるで、盤上の駒がどんな状況でどんな力を持っているかがプレイヤーのように分かる。
流石に指をこれだけ呑まされると違うものだ。
盤上の中に、異物が入り込んだ事を察知した宿儺はすぐさまその方角へと足を早めた。
異物が入り込んだ程度なら、宿儺といえども特段気にすることは無かったのだが、彼には急ぐ理由があったからだ。
入り込んだ異物の横に、あのAの呪力がある。
だがそれは、以前会った時よりも極端に呪力が減っていて、それを察した宿儺は只事では無いことが起こっているのだと判断した。
それと、Aの横にかなり弱まった呪力の気配を感じる。
それが何とは分からないが、あまり良いことが起こっているとは思えない。
早急に向かう必要がある。
まるでそれは瞬間移動を疑うような速さで、宿儺はものの数秒も掛からずその地に降り立った。
そして、その降り立った地で彼女と顔を再び合わせたのだ。
彼女の姿は、お世辞にも素敵だとは呼べないぐらいには酷い有様だった。
元から黒いはずのカーゴパンツは、土埃と血を吸って更に黒を増し変色しているし、露出させた腹部には切り傷どころか貫通したような傷や、なんで今動けてるんだと呼べるような傷が幾つも見受けられた。
きっと、布で隠された足や胸にもそんな傷が数多刻まれているのだろう。
片腕は特に酷くて、傷より下を布の切れ端で縛り上げ止血はしていたものの、力の抜けた状態を見る限り機能はしていない。
顔は説明不要と言わんばかりに血と土埃に塗れていて、まだ土砂降りの中に放り出された子犬の方がマシだと言っても過言では無いぐらいだ。
そんな彼女が、横に降り立った自分を見上げている。
泣き腫らしてぐしゃぐしゃになった顔。
どうしたらいいか分からない、混乱と絶望の顔。
誰かに縋りたい子供のような顔。
あぁ、そんな顔を千年前にも見せられたことがあったな。
そんなことを、宿儺は唐突に思い出した。
もっとあの時は幼かったのが、今とは違うぐらいだ。
でも、あの時の幼さがまだ彼女の顔に残ってるのを、宿儺から千年前の記憶を呼び起こさせた。
こいつは生まれ変わりで、あの千年前のガキがそのまま大きくなった訳ではないというのが分かっているのに。
Aの瞳が一瞬揺らいだ。
それは、そこに居るのが虎杖悠仁ではなく宿儺だとすぐに判断したからだ。
だけど、彼女はそれ以上の言葉や行動を行おうとはしなかった。
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時