477:ギャルと謎の力 ページ27
「動けッッッ!!!!」
喉が裂けるほどに願い叫んだその時だった。
体の中で、何かが回転した気がしたのだ。
臓器だとか血液だとか、勿論そんなものじゃない。
もっと、言葉では言い表せない感覚的なものだ。
回転というか、それは“
なんだ、今の。
出会ったことない感覚に体が突如として満たされた矢先、今度は体が水を得た魚のように動き出した。
あんなにも動かなかった体がだ。
何だこの体の軽さは。
体を起き上がらせることは勿論、血溜まりに少々滑りながらもAは立ち上がることまで熟してしまった。
きっと、他の人間が見れば君はゾンビかと目を剥くだろう。
無論、本人が一番信じられないという顔をしていたのだが。
「っ…」
立ったと同時にビリリと激痛がまた走り、Aは一瞬顔を歪めた。
だけど、こんなにも体中が痛いというのに今ならどこまでも動ける気がAの中で沸々と湧き上がっているのだ。
沸き立つ、名のない正体不明の力。
「…」
赤黒い血がついた片手をAは不思議そうに眺める。
もう呪力はカラカラだし、歩く力もないと思ったのに。
少し寝たら回復した。そんな馬鹿な。
「いや、自分のことはあとだ____、」
そうだ、恵を探さないと。
すぐにAは掌から興味を逸らし辺りを見回した。
伏黒の姿はない。
あるのは、伏黒甚爾でありそうではなかった謎の男の死体だけ。
ふと、Aは自身より少し先の地面の上で目を留めた。
血溜まりだ。
それが、道のように何処かへ続いている。
「めぐ…み…?」
血痕の先に向かう以外選択肢はない。
「あ、」
一歩足を踏み出しかけたところで、Aはそうだと気づき体を屈めた。
これも忘れてはならないのだった。
自身が伏していた血溜まりの中でキラキラと光る無数の破片。
呪具『桐壺』の破片だ。
Aは、血溜まりの中から一番大きな欠片を取り出す。
掌程度しかない銀の欠片。
まだ呪術界へ入ったばかりの頃、この『桐壺』とは数多の修羅場を潜り抜けたものだ。
そういえば、『桐壺』と出会った時は伏黒甚爾も一緒だった。
それと、片割れの呪具『夢浮橋』も。
そして、数奇なことに『夢浮橋』を破壊したのも伏黒甚爾だし、この『桐壺』を破壊したのも同じ男であった。
本当に、数奇な運命だ。
「…感傷に浸ってる場合じゃないな」
すぐに切り替え、Aは血痕の先に足を動かす。
轟音の正体、如何に。
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時