476:ギャルと満身創痍 ページ26
………。
なんで、動かなくなったんだっけ。
どことなく記憶が飛んでいる気がする。
確か、恵と一緒に居て、それで相手は…そうだオッサン。
あぁ、そうだ。オッサンのせいで腕が動かなくなって、でもオッサンは降霊術か何かで作られたやつで、それで、それで。
「恵…ッ」
ハッとして、Aは起き上がろうと踏ん張った。
まだ動く片手で体を押し上げようと血に手をつけると、べちゃりと音がした。
なんだ、これ。
掌が濡れた感触があって、でもそれは水でないことは確かだ。そして、Aはそのあとすぐに鼻に届いた鉄の匂いで気づいた。
血だ。
血の匂いだ。
「私の、血…!?」
自覚した途端、体の中で激痛が広がった。
Aは思わず途中まで押し上げた体をべしゃりと地に戻してしまう。そのぐらい突然痛みが襲ってきたのだ。
なんだこれ。なんだこの焼けるような痛み。
あぁ、そうだ。
壊れた桐壺の一部を取りに行ったら、後ろからぶすりと一突きされたんだ。
そこまでは覚えている。
幸運だったのは、元々満身創痍だったおかげで脇腹を刺されるだけで終わったところだった。
その一突きで死んだように地に伏したことで、後ろから刺した何者かは油断したのだろう。
いやそれよりも。
「恵は、めぐ、みは…ッ」
じゃあ、彼はどうなった…!?
自分のことよりも、Aは伏黒のことの方が大切だった。
刺した何者かが自分を刺しただけで退却したとは思えない。
彼だって傷だらけであったはずだ。
確認しなければ。
動かなければ。
「…ッ、」
片手で踏ん張ると、またもや激痛が体を走り抜けた。
どうして自分は死んでないのだろうと不思議になるぐらいだった。
「ぬ、ぐぅ……ッ」
激痛を自覚し始めてから体が持ち上がらない。
どうして、なんで、どうして…!!
そう疑問が湧き上がると、今度はその膨大な疑問がどんどん不安に変わっていった。
恵はどうしてる。まさか倒れてるのか。いや、倒れてるだけならまだいい。だけどそれ以上だったらどうする。
死んでるんじゃ。いやそんなはずはない。
だって恵だぞ。
そういえば、目覚めた時のあの轟音はなんだ?
妙な汗が噴き出た。
吐き気がする。最悪な気分だ。
頭が痛い。気持ち悪い。
でも、動かないと。
どうして動かないんだよ。
どうして、私の体はもうそんなに限界なのかよ。
「そんなこと、ない、だろうが、よぉ…ッ!!!」
動け、動け、動け、動け動け動け動け!!!
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時