469:ギャルと生命線 ページ19
「状況は?」
伏黒が尋ねかけたその時、彼の言葉を遮って淡々と尋ねたA。
既に、Aの手からは正体不明の男の姿は離れ、無機物のように地に寝かせられていた。
ふらふらと立ち上がって、流れるような手つきで煙草を取り出す。
器用に煙草一本を口で引き抜くAだったが、ふとライターが無いことを思い出してそのまま煙草を中に戻した。
「じょう、きょう……あ、Aさんと五条先生の件は既に渋谷に来ている殆どの呪術師に情報が共有されています。京都校のメカ丸が根回ししたみたいで、」
伏黒は、手短に現在の渋谷についてを説明した。
彼の説明に、Aは「…ふむ」と時々相槌を打つ。
本当は立っているにもままならないのか、説明の後半辺りでは近くのビル壁に凭れていた。
しかし、それでもいつもの軽薄で煌びやかな表情は見せず、終始真剣な顔をして聞いていたあたり気を張っているのだろう。
「____なるほど。恐らく、恵も気づいてるとは思うけど、何処かで宿儺の指が出現した。…または、宿儺本人か」
悠仁の居場所は?
問うAだったが、伏黒は首を横に振った。
「随分前に別行動を取るようにしたので」
言うと、Aは「困ったな」と呟いた。
「虎杖に用が?」
そう伏黒が訊ねると、Aは一瞬間を置き返した。
「悠仁、というか宿儺に会いに行こうと思ってる」
「死期を早めるのが趣味ですかアンタは」
想像よりも上手い返しが飛んできたな。
Aは、呑気に思いながら目の前で顔を顰める伏黒へ正直に述べた。
「宿儺がどうやら、私の“正体”を知っているっぽい」
その空漠たる物言いに、伏黒は一層深く顔を顰めた。
「ふわっとしすぎにも程があります」
「でしょうねぇ」
「危機感」
というか、正体ってなんですか。
言ってる意味が分からない、そういう顔をしているとAが突然伏黒に向かって手招きをした。
この人の手招きには無条件で応えてしまう。
癖ってやつなんだろう。
伏黒は考えるよりも早く、ほぼ反射でAに近寄った。
すると、近寄るなり片腕を首に回され抱きしめられたのだ。
「…、」
伏黒はその時、上手く反応することが出来なかった。
飛びつかれたりだとか巫山戯てだとか、そういうのは今までも何回もあった。
だけど、今みたいにこんなにも優しく、けど力強く抱きしめられたのは初めてだ。
「恵」
張り詰めた空気がAから消える。
「生きていてくれて、ありがとう」
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時