466:ギャルと破壊 ページ16
そう。
それは先程まで『鵺』が持ち上空にて待機していた産物。
『鵺』は人を抱えて長くは飛べない。
だが、通常時人以上の重さはある桐壺でも、“長く”でなければ多少の無理も出来なくない。
そして、術式を解除した途端、影から排出されるAのタイミングに合わせるように、滞空していた『鵺』が消える。
Aの手に、桐壺が落とされる。
しっかりと握られた。
游雲は俺が掴んだ。
そう簡単には動けねぇだろ。
そう伏黒は読んだのだが、男の力は一枚上手だった。
Aが、男に向かって桐壺を横薙に振る、そのコンマ数秒の中で男は力任せに游雲を伏黒から引き抜いたのだ。
思わずギョっとする伏黒。
なんだコイツの力...!?
そして、男は説明不要の人間離れした速度で、游雲を後ろ手に片手から片手へ持ち変えると同時、体を翻す反動で游雲の先を向かってくる桐壺へ向けたのだ。
は...!?馬鹿か、あの桐壺と正面衝突なんてすれば流石にコイツでも衝撃波で吹っ飛ぶだろ...!?
目を剥く伏黒だが、そのコンマ数秒の中でAの瞳が男ではなく自分を見ていることに気づいたのだ。
緑色の瞳が、自身を強く見つめている。
今まで自分に向けていた目とは違う。
この人は今、俺を一人の“呪術師”として映している。
全てを理解した伏黒は、手早く影を展開する。
Aと男が。
桐壺と游雲が、その瞬間衝突を果たした。
その時生まれたのは、圧倒的なパワーとパワーがぶつかった事で生まれた別の衝撃波。
ほんの少しの差であった。
桐壺のパワーをほんの少し凌駕した游雲の先は、桐壺の体に一点集中させ突き当たると同時に、桐壺の体を破壊したのだ。
Aと男の体を、桐壺の破片が包み込む。
まるで窓が割れたように意図も容易く破壊された。
男の目が、Aを見ていた。
Aは、男の目を見て____得意げに笑っていた。
「アンタがこの程度破壊出来ちまうってのは、想定済みなんだよ________何十年も昔からな」
男の背後に居た伏黒の姿。
彼の手には、一本の刀が握られていた。
伏黒は間髪入れず男の二の腕に腕を回しガシリと掴むと、男の脇腹めがけ刀を突き立てた。
これで終いだ。
伏黒が確信したと同時、Aと伏黒の前から男が忽然と消えたのだ。
Aが瞬間的に顔色を曇らせる。
「しまった...ッ、」
Aが口走る。
男は既に、数m先に回避をはたしていた。
それも、かすり傷程度の怪我のみで。
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時