543：いくじなし ページ47
『その制裁を行ったからには、Aがマフィアの頭を潰しておかないと示しがつかないだろう』
確かに。
何のために今回手を切ったのか。
こちらは何に対し見限ったのか。
ゾルディック家を嵌めると、何が起こるのか。
『いつだってお前達の組を潰す事ができるという力関係を教えてやる事は必要だ。俺達が“ゾルディック”の名を持つ限りはな』
「…」
Aの瞼に影が落ちる。
通話口からは、シルバの『そういう訳だ。A＝ゾルディックが殺したと相手に分かるような痕跡はわざと残しておけよ』と声が聞こえた。
Aは曖昧に「あぁ、うん…」と相槌を返す。
『詳しいことは、後で連絡する。それじゃあ、三日に＿＿＿＿＿』
「ねぇ、父さん」
唐突に、シルバの言葉をAが遮る。
そっと呼ぶようなAの声音は通話口を通してか自然とシルバに伝染し、「ん？どうした」と優しげな時の父親である声音が返ってきた。
すると、Aは通話口の先で何か言い淀むような素振りをみせた後、シルバに訊ねたのだ。
「“あの子”、元気にしてる？」
通話口の先で、シルバが口篭ったのが分かった。
「私が居なくて寂しがってない？」
「…」
「“あの子”も＿＿＿＿、」
あの子。
そう聞いて、父は通話口の向こうでどんな顔をしたのだろう。
「“あの子”も、ゾルディック家よね？」
『A、』
時をさほど待たずして、零すようにシルバがAを呼んだ。
思わず口を引き結んでしまうA。
あれだけ仲睦まじい父と娘との会話をしたというのに、今では嘘のように冷えている。
父の声が、冷たく低く重い。
『“アレ”の事を考えるな』
その言葉に、Aは何も返せなかった。
父に反抗するべきだったのかもしれない。
だが、今のAでは何も言うことは出来なかったのだ。父がその時どんな顔をしていたのか。
幼少の事件の時見せた、あの父の顔が頭に過ぎった。
『三日の日にまた、』
先程の会話などなかったかのように、シルバが言う。
あの冷たさはない。
『お前と話せて良かった』
優しげな父の声のはずなのに、Aの中にはやるせない残酷さが残されたままだった。
「…うん、私も」とAは返すと、程なくして通話が切れる。
暫く、Aはじっとしていた。
静かな闇の静寂が鬱陶しく感じるほど、じっと。
ずるずると壁伝いに座り込むA。
「…いくじなし」
誰に言うでもなく呟く。
その気配に気づくことなく。
「大丈夫か？」
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鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です；；話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります！！お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します！面白すぎて全話読みました！応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい！。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします！。（💦） (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます！！🙌めちゃくちゃ嬉しいですー！🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…！ (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月11日 16時
