541：アイツのおかげ ページ45
「ふふ、なぁんだ構えて損した。父さん、真剣な話してくるのかと思ったら、“お父さん”って感じの話するんだもの」
くすくすとAは笑って近くの壁に凭れる。
電話口からはシルバの少し照れて居心地悪そうな声が聞こえ、『そりゃあ...当たり前だろ.....父親だからな...』と言葉が返ってくる。
伝説の暗殺一家の長なんて言うが、実際のところやっぱり人だし親だ。
『で、どうなんだ？』
「友達の話？上手くいってるわよ、かなり」
そう。かなり。
どんな人間かはあまり話したくないが。
まぁいつかは話す事になってしまうだろうけど、その事を考えると胃が痛くなりそうだった。
父と奇人変人の恋人が殺し合う様は本気で見たくない。
『お前がそう言うならそうなんだろうな。まぁ…イルミ曰く“あんなの姉さんの友達じゃない”なんて言っていたが…』
たった一人の姉だから、ちょっと過保護なんだろ。
なんて付け足すシルバだが、Aは苦笑いしか浮かべられなかった。
きっと、あの能面の顔面を持つ弟とは思えないほど顔を歪めて言ってたんだろうな。
『久々に声を聞いて、なんだかまぁアレだ…… お前が楽しそうで良かったよ』
その言葉に、Aは目を微かに丸くした。
「そんな、声聞くだけでわかる…？」
『娘の声だぞ。父親だからな』
電話口の向こうで、シルバのどこか満足げに笑った声が聞こえた。
『それも、友達のおかげか？』
その確信的な言葉は、Aの瞳を大きく丸くさせた。
この父親から“友達”なんて言葉が出るなんて、数ヶ月前までは想像もしていなかった。
別に、イルミのように暗殺者友達否定派という訳では無い。
ただ、このシルバという父は孤高の暗殺者なのだ。
彼が孤高であるからこそ、我々は伝説の暗殺一家なのである。
エリートなのである。一流なのである。
だけど、居てもいいじゃない。友達。
父が、以前よりどこか柔らかくなったように感じるのは、まさかゴンのおかげなのか。
キルアを助けに行ってから、何か彼の中で心境の変化でもあったのだろうか。
Aは、口元に照れくさいような柔らかい笑みを浮かべた。
あぁ、アイツのおかげで私って今楽しいんだ。
とってもとっても、癪だわ。
声に出てしまうぐらい、楽しいんだ。
あぁ、もう、本当に本当に。
「まぁね...」
頬が熱い。
その熱が冷めるわけでもないのに、Aは何度も髪を人差し指でくるくると巻いてしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 875人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です；；話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります！！お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します！面白すぎて全話読みました！応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい！。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします！。（💦） (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます！！🙌めちゃくちゃ嬉しいですー！🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…！ (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月11日 16時
