526：勘のいいやつ ページ30
「なぜ、利き手でやらなかたか」
フェイタンが呆れながら返すと「あ、そっか」とシズクは掌にポンと拳を打った。
「Aさんもどうですか？」
「え？」
「腕相撲」
突如脈絡なくパスされた言葉に、Aは思わずギョッとしかける。
いや、いやいやいや。
邪気のない瞳でシズクに言われ、危うく不自然に断るところだった。
ギリギリのところで踏みとどまった自分を褒めてやりたい。
表情筋に力を込めたあと、すぐに柔らかく抜いて解けたような笑みを作ってみせた。
「まさか。やったら私が勝ってしまうわよ」
嘘ではないものの、Aは咄嗟に腕相撲をしなくても良い口実を述べる。
嘘じゃない分、バレるかもしれないという居心地の悪さがないから心に負担もない。
「随分強気じゃねーか」
「いつか、蜘蛛の皆とAさんで腕相撲大会しないとですね」
「腕相撲大会？皆と？」
「あぁ、ウチは腕相撲で力だけの序列決めてんだよ。ま、暇つぶしでやった事で、だからなんだって訳じゃねーんだがな」
フランクリンの言葉に、Aは「へぇ…」と相槌を返す。
どうやら特に不審に思われてないようだ。
なんて思った矢先、「おい」と低く声が割り込んできた。
「で、何故ここにいるか」
完全に自身を敵対視しているフェイタンに訊ねられ、Aは「だから、別行動になったから、」と返そうとすると言葉を質問者本人に遮られる。
「別行動になて、何故ここにいるね。アジトに戻らなかたか」
おっと。
Aは唇の裏で呟く。
意外と鋭いか、なんて思ったのだ。
ふと、そんな二人の間にピリピリと張り詰めた空気が生まれかけた矢先、断ち切るようにシズクの脳天気な声が割り込んだ。
ただし、彼女の言葉でこの場は再び張り詰めた空気で埋め尽くされることになるのだが。
「あの白い子、Aさんに似てますね」
まだダイヤが恋しいのか、腕相撲大会をする彼ら三人組を遠目で眺めるシズクが言った。
顔には出さない。
Aは、再びギリギリのところで踏みとどまった。
この程度で動揺しては暗殺者たるものの風上にもおけない。
彼女のプライドとプロ意識がそうさせた。
「おー、ほんとだな」
フランクリンが呑気な相槌を返すと、彼らに人差し指を向けて、顔だけをAの方へ向ける。
「知り合いか？」
なんてこと無い会話。
本当は彼らが実は知り合いで、Aがその場に居合わせたなんて可笑しくも何ともない。だが、しかし。
悟られてはならない理由がある。
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鼻毛太郎(プロフ) - ドリアンさん» コメントありがとうございます😭🤍出会えたことにとっても感謝です；；話数の問題で、次章へとこれから続きますが、是非これから先も楽しんで頂けるよう励んで参ります！！お付き合い頂ければ有難いです…🤍 (2023年4月15日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 初コメ失礼します！面白すぎて全話読みました！応援してます (2023年4月14日 19時) (レス) id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» 送らせて頂きました🙇♀️ (2023年4月8日 17時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ろーるぱん(プロフ) - はい！。あのそちらがボード作ってくれると嬉しいです。そのオリキャラ紹介会話とかしてみたくって。お願いします！。（💦） (2023年4月8日 16時) (レス) id: f00e1d6c6c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ろーるぱんさん» コメントありがとうございます！！🙌めちゃくちゃ嬉しいですー！🥺ぜひぜひ、私で宜しければボード送ってくだされば反応返します…！ (2023年4月8日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2022年11月11日 16時
