008:蛙鳴蝉噪 ページ8
「えぇ、蝶野そういうボケかます系?何言ってよ先に〜、Aさん困っちゃうなぁ〜先に言ってくれないとさぁ〜対応できないじゃ〜ん??はい、テイク2しよ。私リアクションとるわ」
私ツッコミ得意よ。
Aは席に座り直し、姿勢を正す。
しかし、当の夜蛾は「は?」という顔をしている。
「いやいや、蝶野よぉ舐めてもらっちゃ困るよAさんを。ツッコミには自信あるんよ、これでも」
怪しくフッフッフッ、と笑いながらAは自身の片腕を叩いて見せた。
「蝶野ではなく、夜蛾だ」
「じゃあ、夜蛾なハイハイ。ボケは時間が勝負なんだよ。引っ張るなって」
はいこい、よしこいとAは両手を広げた。
いつでも来た言葉は返せるつもりだ。
しかし、投げられた言葉はAの予想を遥かに超える。
「一年は全員で2名だ。そのうち一人は、入学前に呪術規定に基づき停学となった。よって、お前一人で全員という考えに代わりない」
ぽかん、Aの口が開き、長いゴテゴテとした爪で額をかいた
「証明問題解いてる?」
「いいや。」
ボケのレベル高ぇわ〜なんて言おうと思ったが、あっさり否定される。
Aは頬杖をつき直す。
「あのさぁ、学校名にもついてるし、アンタの言葉の中にも入ってたけど…呪術って何?」
「…まさか、知らないのか?」
この教室に来て、初めて夜蛾がAに疑問を投げかけた。
Aはキョトンとした顔で、「…?私は仏教校ってのしか聞いてないけど」と返す。
「秋星からは?」
「何も」
「母親……
Aは首を横に振る。
母親は12歳の頃に亡くなった。
夜蛾は眉を顰める。
うわ、ガラ悪そうな顔…とAは思う。
「…自分の術式も?母親が死んだ理由もか?」
「術式?…これそうやって言うんだ」
Aは人差し指を立てピッと振ると、空き机が途端に浮き豪速球で窓を割り外へ飛び出た。
「うわッ、まーたミスった!夜蛾、ごめんな。浮かせるだけのつもりだったんだけど、ちょっとミスった」
夜蛾の表情が一層険しくなる
「母さんが死んだ理由って、事故でしょ?仕事で事故ったって。……え?」
突然、Aは瞳を小さくした。
母親がどんな仕事をしていたのかは知らない。
あんまり家に居ない人だった。
葬式には沢山の人が訪れ、中には夜蛾の姿もあったのをAは覚えている。
でも、夜蛾はここに居て、不思議な能力を知ってるようで。
そういえば、母親も不思議な能力を持っていた。
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時