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____2018年、6月下旬。都内某所焼肉店。
「そっかぁ、悠仁は仙台出身だったんだ」
天井のダクトに煙が吸い込まれていく。
個室内を埋めるのは焼けた肉の匂い。
ジュウ、という音に紛れ虎杖悠仁は頷いた。
「Aは仙台来たことあんの?」
「んー、二回ぐらいは行ったかな。一回恵と行ったよね?」
金の髪をふわふわと巻いた派手な女、
「冬でしたっけ。寒かったって記憶あります」
伏黒恵は箸で置かれた肉を挟むと、Aの皿に移動させた。
「ちょいちょい恵、なんで移動さすのよ!」
「取ってもらうなんて悪いですよ。自分の肉は自分で掴み取ります」
「伏黒、武将みたいなこと言ってんじゃねーぞ」
伏黒の言葉に、釘崎野薔薇が口を挟む。
そんな野薔薇の手には、茶碗にこんもりと盛られた白米と丁寧に敷かれたタン、所謂焼肉丼が載っていた。
Aは、呪術高専一年三人を連れ焼肉店に訪れていた。
それも、立地も値段も良い、到底学生には手が出ないような高級店。
ついさっきまで、悠仁と野薔薇が並んでメニューに目を通し、その記載された金額に騒いでいたばかりである。
高専の非常勤講師となり数日。
Aは三人を誘い、親睦も兼ねて連れ出したのであった。
「恵、アンタ前々から思ってたけど、もっと欲張りな。今日は私の奢りだし…ヒモの素質がアンタにはあるんだから!」
「…何を根拠に言ってるんですか。嬉しくないです」
本当にこの人何を言ってるんだ。と伏黒は思う。
「っつーか、先生遅ぇな」
「五条の事だから、どっかで道草食ってんでしょ」
悠仁の言葉に野薔薇が返した後、突然野薔薇の表情がハッとしたものに変わる。
気づいたか…という伏黒の顔。
野薔薇は頷く。
「悟のやつ、そんなに仕事立て込んでんのかねぇ…」
違う!
好きな女の子に心配してもらいたいがために、あの人遅れてくるんだ…!!
うわ、察してしまったよ。
野薔薇と伏黒だけが顔を伏せ黙っていた。
悠仁とAは「遅いねー」「ねー」なんてほのぼの空気を醸し出している。
そんな中、悠仁がふと声をあげた。
「Aってさ、五条先生の先輩なんだよね?」
「そ。生意気なあの後輩のね」
ニッと笑うA。八重歯がちらりと覗く。
「じゃあ、二人共高専卒業してんだ」
悠仁の確認するような言葉に、Aは不思議そうな顔を見せた。
「うん…そう、だけど…なんで?」
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鼻毛太郎(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます🙌🤍強くてかっこいいクズが好きなのでこの結果なのですが、気に入っていただけたならばとても嬉しいです…!是非、引き続き楽しんで頂けたら幸いです^^ (1月21日 2時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - パパ黒かっこよすぎ (1月21日 0時) (レス) @page34 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 黒さん» コメントありがとうございます!🙌裏側ではいつかに向け百鬼夜行をちまちま書き溜めておりますので、いつか皆さんにお披露目できる日を楽しみにしております😌それまで暫しお待ちを…! (2022年2月16日 21時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - ギャル夢めっちゃ好きです!!🥺鼻毛太郎さんがかく百鬼夜行楽しみです😚 (2022年2月16日 17時) (レス) id: ab6a15c201 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あーさん» 頭いいなんて言われてだいぶニマニマしてます😎とはいいつつ、本人は過去に適当に張った伏線のおかげで矛盾だったり色々苦しめられているんですけどね!!笑皆さんが読んでくれれば私は嬉しいんです🥺素敵なコメントありがとうございました!🌸 (2022年1月31日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月27日 22時