サファイアはただいまグロッキー ページ48
係員が全員安全バーとシートベルトを着用したか最後の確認を行い、いよいよ出発のアナウンスが流れた。
最後にブザーが鳴り響くとカラ松達の乗る乗り物は動き出し、彼女は楽しそうにはしゃぎ始めた。
「カラ松!動いたよ!何か上に向かってるよ!」
「あ、ああ…そうだな」
ガタンガタンと上へ上へ登って行くのを彼女はキャッキャと楽しそうに実況するが、カラ松はこの先の結末がわかっているのでもう既に顔が半分死んでいた。
レールに沿って乗り物は上へ上へ、ゆっくりと登り
下を歩く人々がありんこのように小さくなって行く。
そうして天辺にようやく辿り着くと、そこで機体は停止した。
一瞬故障かとカラ松は思ったが、直後にガクンと機体が下を向く。
先頭だからこそ、その先は真っ逆さにレールが落ちているのが見え、彼女は両手を、カラ松は誰よりも声をあげた。
「うぎゃああああああああああああああ!!!!」
−−−
「はぁ〜〜、楽しかったぁ!」
出口から出て開口一番に彼女はそう言って伸びをすると、抱いていたクロを大事そうに抱き締めた。
だがふと隣にカラ松がいない事に気付くと、彼女はキョロキョロと辺りを探し始める。
するとカラ松はまだジェットコースターの降り口から出てすぐ、階段から降りる手前でグロッキーになっており、彼女はそれを見つけると彼の所に向かって、鈴のような声で話し掛けた。
「…カラ松、大丈夫?」
「あ、ああ…ああ、大丈夫だキティ…」
「本当に?何か顔色悪いけど…」
「なぁに…これが、俺の元の顔さ」
「ううん、カラ松いつもはもっとキリッとしててかっこいいよ?」
「かっ…か、かっこっ…ヴッ!」
予想外の言葉を貰ってカラ松は一瞬舞い上がったが、急に顔を上げた事により何かか胃から込み上げて、慌ててカラ松は口を両手で押さえた。
幸い喉元まで出かかって留まり、カラ松は小さく溜息を吐くと
彼女は「本当に大丈夫?」と首をカラ松の顔を覗き込んだ。
「あ、ああ…大丈夫だキティ。心配かけたな」
「そっかぁ、良かったぁ」
「…ところでキティ、今言った事はほ」
「じゃあカラ松、次は何に乗る?」
「…え」
強がったカラ松は何かを言おうとしていたようだが、途中で彼女に遮られてしまい
彼女はマップを広げながらカラ松にそう尋ねた。
思わずカラ松は気持ち悪さも忘れて固まってしまったが
直後に今強がってしまった自分を呪い、とりあえず「激しくないヤツ…」と呟いた。
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*IJu*(プロフ) - 腐女子さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてうれしいです…!更新頑張ります〜(*´∀`) (2018年4月11日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子 - 面白かったです!更新お待ちしてます! (2018年4月8日 0時) (レス) id: 9891d1bd62 (このIDを非表示/違反報告)
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