彼女の帰還 ページ10
「ところでA殿…その本は何ですか?」
粗方話を終えた所で、アーサーが僕の持っていた本を指差して首を傾げた。
すると他の皆も気になるようで、僕に視線が注がれるのを感じる。
「ああ…コレ?
『
なので僕はその3冊を浮き上がらせ、皆によく見えるように移動させながら説明してやった。
すると周りはそれぞれ驚きと疑問の声をあげる。
「『
「魔女族の一部の家系に代々伝わる代物でね。
この魔道書の書体は魔女族にしか読めないんだ」
『…少し、中を拝見してもよろしいか?』
「ご自由に」
マーリンはこの魔道書に興味深々の様で、僕は無駄だと思いながらも水色の表紙の魔道書を開いて中を見せてやった。
すると彼女は『ふむふむ』と本の中身を見ながら、何か納得しているかのように呟く。
……え?ちょ、もしかして読めてる感じ……?
「お姉様…もしかして、読めるの?」
『いいや、さっぱりだ』
何だよ…
マーリンの一言にその場にいた奴らは落胆する。
ビックリした……いや、そりゃ読めないとは思ってたけどさ……
マーリンもマーリンで結構凄い魔術士だし。
もしかしたら…って、一瞬思っちゃった。
『この様な書体は初めて見たな…』
「だから言っただろ?魔女族特有の書体だって。
魔女じゃねー限り読めるわけないじゃん」
『ならばA、このページには何と書いてある?』
「教えてたまるか、自力で解読しやがれ」
僕は吐き捨てるようにそう言うと魔道書を閉じて僕の手元に移動させ、そのまま自室に向かおうと踵を返した。
誰が人間なんかに教えてやるか。
好奇心で何でも知ろうとしやがって。
これだから人間は……
「A殿っ!」
部屋から出て行こうとしたら、不意にアーサーに声を掛けられた。
僕は1度立ち止まると振り返り、眉を顰める。
「…何?」
「あ、いや…その……」
返事を返してやると彼は一瞬たじろぎ、ピシッと背筋を伸ばす。
そしてオロオロしながらも微笑むと、僕に言った。
「…今更、言うのもあれですけれども……
……おかえりなさい、A殿」
「…」
……ああ、そう言えば僕は、彼と約束をしていたな。
絶対帰って来る、って。
僕は少し照れくさくなって1度彼から目をそらすと、再び顔を上げ小さく返事を返した。
「………ただいま」
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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)
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