彼女の疑問 ページ50
一瞬にして目の前の光景は草原から木々が生い茂る森の中へと変わる。
ゴウセルは一瞬キョトンとした顔をして固まってから、キョロキョロと周りを見渡しパチパチと瞬きを繰り返す。
「…此処は?」
「森だ」
そして首を傾げながら尋ねられた言葉に僕は簡潔に答えると、そのまま森の中を歩き出した。
するとゴウセルも不思議そうな顔をしながらも僕の後ろについて来て、後ろから視線を浴びながらお散歩は始まった。
…って、何でそんなに僕を見る?
「何故、こんな所に?」
「言っただろ、散歩だって」
「最期の、と言っていたな。
つまりそれはどういう事だ?」
「…大体想像出来てんじゃない?」
「俺は死ぬのか?」
「…」
やっぱり想像はしてたか。
でも、だとしたら何でコイツ僕について来んの?
そんなつもりじゃなくっても、あんな怪しい言い回しされたら警戒とかしないワケ?
それとも僕が異常に警戒心強いだけ??
……コイツ、やっぱり意味わかんない。
「…大丈夫。霊は死んでもその身体は生きる。
しかも、今度は僕に愛でられる為に」
「…? つまり、俺の死体をお前は愛でるのか?」
「いいや、死なない。ただ別人になるだけ」
「……意味がわからない」
僕も堂々と殺す事を説明してやってるのに、それでも何もして来ないお前が意味わかんない。
つか何でフツーについて来てんの?
魂抜かれるの怖くないのか?人形だから??
どうして逃げないの?どうして抵抗しないの?
僕は今からゴウセルを消そうとしてるのに。ちょっとはそーゆー反応見せたらどうなのさ。
「…ねぇ、何でついて来んの?」
不気味で気持ち悪くて仕方なくて、遂に僕は尋ねた。
するとゴウセルは首をこてんと傾げ僕を見つめる。
「俺の身体を媒介に何かするのだろう?」
「そーだけど」
「なら、俺はAについて行かなくてはならないのでは?」
「…何か企んでるの?」
「現状は特に」
「死にたいの?」
「正直に言うと、答えはノーだ。
もっと人間の書いた本を読んで、心を知りたい」
「でも」と続けるとゴウセルは視線を1度落とした。
表情は傍から見たら無に等しかったが
僕にはその横顔が悲しそうに歪んでいるような気がした。
「……お前は、俺が嫌いなのだろう?
そう考えると何故か、胸が痛くなる」
「……?」
…つまり、どーゆー事なんだろう。
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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)
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