彼女の呆れ ページ46
「…あー、ごめん、アーサー…
えっと、その……置いてっちゃって。
あとで何かしてやるから、さ?それで許してもらえない?」
相手の心情を頑張って考えて、それっぽいく察して。
僕は更に申し訳なく感じて、ついそんな事を口走ってしまった。
「………何か?」
するとアーサーはバッと顔を上げ、目を丸く見張った。
その目は何処か期待に満ち溢れている気がして、思わず眉を顰めた。
「ああ、うん。何か」
「何かとは…具体的にはどのような?」
「え?あ、えっと…別に、何でも…」
「何でも…?今、何でもと言いましたな?」
「な、何だよ?それじゃ足りないのか?」
「い、いいいえっ!十分です!!十二分でございます!!」
不満でもあるのかと思ったけれど、どうやらそうではないらしい。
アーサーは顔をほんのり赤らめながら慌てた様子で手をブンブン振り回して否定すると、目を泳がせながらニヤニヤと笑う。
……何か、頭の上の生物の気持ち悪さがアーサーにも移ったみたい。
「えへへっ……そうですか…何でも、でございますか……何でも……どう致しましょう……フフッ…」
「何故、アーサーは笑っている?」
「さぁ…頭の栄養全部上の物体に吸い取られてんのかも」
その後、アーサーは暫くの間終始頬を赤らめニヤニヤしたままだった。
−−−
「ジェンナ、ザネリ、世話になったな!」
修練窟で特訓していた奴らが戻って来て、団長と同じように試練を与えられていた王女様も戻って来て。
皆一回りか二回り成長(したかどうかはさっぱり知らんが)した所で、早々にここイスタールに別れを告げる時が来た。
僕達はあちらの世界とイスタールの世界を繋ぐ石のアーチの前まで辿り着くと、そこを潜る前に団長は双子の女に声を掛けた。
「今度はのんびり遊びに来い。バンも連れてな」
「おう」
対して金髪もそう言って笑うが、果たしてその日は訪れるのだろうか。
ほら…だってバン抜けちゃったんでしょ?
だとしたらもう来ない気が。
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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)
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