◇ラプンツェルの調子 ページ37
「…それで、黒井。私に何か？」
クドウ監督はまるで威圧するように私達を見下ろしながらそう言った。
一瞬、普通に答えそうになったが、直後にハルナとキドウの存在を思い出す。
び、病院から帰ったよって報告とリハビリの経過を話そうとしたけれど…この2人がいるから無理だ。
でもでも探してた手前『なんにも用ありませんでした』なんて言えるはずない。特に監督には。
それに明らかに不自然だよね。ハルナとキドウにも怪しまれちゃう。
特にキドウは頭が良いから、私が病院に定期的に行ってるって事、バレちゃうかも…
「え…えぇっと…えと…」
「…？」
「どうした、黒井？」
言いたいけど、言えなくて。
言い淀んでいると、ハルナとキドウの訝しげな視線が向けられる。
私は必死で考えた。この場を切り抜けられる嘘を。
何とか誤魔化せるような嘘を。
今だけオオカミ少年になりたい。
私が病院に行っているってバレないように誤魔化したい。
でも急にそんな事言われても浮かぶはずがないよね。
寧ろプレッシャーを感じて何にも考えられなかった。
「…そうか、」
2人の視線に耐えながら私は言葉を詰まらせていると
ふと監督が何か納得したように呟き、キドウとハルナを一瞥する。
そうしてまた私に視線を戻すと、監督は言葉を続けた。
「用事は済んだのか？」
「えっ…あ、うん！終わったよ！」
「
「え、と……ぜ、ゼッコーチョー？うん！絶好調！」
「…なら、いい」
最初は意味がわからなかった。
急に私の調子を聞くなんて。
キドウとハルナも不思議に思っただろうな。
でも私は理解出来た。……多分。
きっと今の問い掛けは私のリハビリの結果を聞いているんだ。
意味を考えて少し間が空いちゃったけれど、何とか答える事が出来た。
監督も私の返答を聞いて気が済んだのか、1つ頷くと
私の横を抜けてそのまま外に出て行ってしまった。
グラウンドに行ったのかな？
もうすぐ午後の練習の時間だもんね。
それにしても……監督、ちゃんと私との約束、守ってくれてたんだなぁ。
私が病院に通ってるの、皆に知られたくないって約束。
……まぁ、実際は約束したって感じではなかったんだケド。
どちらにしろ、今の今まで病院に通ってるのが一部の人達(フドウとかトビタカとか)を抜いて知られてないのが何よりの証拠だよね。
やっぱり監督、そういう所は律儀な人……
普段はあんなに怖いのにね。
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＊IJu＊(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます…！励みになります…！ (2021年10月15日 0時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます！不動との進展に目が離せません！ (2021年10月13日 1時) (レス) @page12 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます…！ノロノロ更新ですみません…orzでも楽しみにして頂いて嬉しいです！更新頑張りますー！ (2021年10月2日 22時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ (2021年10月2日 0時) (レス) @page9 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - mikittyさん» ありがとうございます…！ (2021年8月26日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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