◇ラプンツェルと汚れたボール ページ18
「……なんだ？」
視線に気付いて、フドウは微かに眉を顰める。
だから私は黙ってボールを指差すと、フドウは視線だけズラしてボールを見遣り、少ししてから「ああ、」と呟いた。
「お前、もしかしてコレ探してたのか？」
「そ、そう……って、ソレもしかして学校のサッカーボール？」
「あぁ。別にいいだろ？1つくらい借りたって。沢山あるんだし、こうしてちゃんと返して来てやったし」
勝手に借りたクセに悪びれる様子もなくボールを抱えるフドウ。
学校の物みたいだし、無くしたら大変だってハルナが言ってたから、また文句言おうかと思ったけど
その前にフドウからボールを投げ渡され、私は慌ててそのボールを抱き抱えるようにキャッチする。
「ち…ちゃんと借りるなら一言ぐらい言ってよ！
今、ハルナと手分けして探してたんだからね！
それにこんなに汚して……！」
「使ってりゃそりゃ汚れるだろ。
……じゃ、俺は先に戻ってるから」
「ちょ…！ま、待って！私も…！」
「お前は少し時間置け。
ちんちくりんと並んで歩きたくない」
「なっ……何、それ……」
ボールを渡した後、フドウはそう言いながら宿舎の方へと歩いて行ってしまった。
淡々としたその態度に私は唖然とした後
ボールを抱き抱えていた手に力が込もる。
……な、なんで急にそんな事言うのかな。
今までは普通に隣に並んで歩いても、何も言わなかったのに。
また意地悪されてるのかな…？
それとも疲れてるのかな……
「(それにしても…酷い汚れ)」
ふと、抱き抱えていたボールに視線を戻す。
元々使い込まれてたみたいだから汚れてはいたけれど……最早元が白黒か分からないくらいに汚れてる。
一体どんな特訓をしたらこんなに汚れるんだろう？
……でも、ボールが汚れてるって事は
それだけ特訓、頑張ったって事だよね。
元の色が分からなくなるぐらい
ボールをいっぱい使ったって事だよね。
フドウが何処で特訓していたか分からないけれど
お昼の時間も忘れてしまうくらい夢中に、真剣に、やってたんだよね。きっと。
そう考えたら、ちょっとだけ誇らしい。
私の事じゃないのに、変なの。
「(……でもやっぱり、お昼抜くのは栄養的にダメだよね！)」
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＊IJu＊(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます…！励みになります…！ (2021年10月15日 0時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます！不動との進展に目が離せません！ (2021年10月13日 1時) (レス) @page12 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます…！ノロノロ更新ですみません…orzでも楽しみにして頂いて嬉しいです！更新頑張りますー！ (2021年10月2日 22時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ (2021年10月2日 0時) (レス) @page9 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - mikittyさん» ありがとうございます…！ (2021年8月26日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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