▼待ち時間 ページ14
そんな騒ぎが起こっていた間に、いつの間にかギャラクシーノーツ号は随分とファラム・オービアスから離れたみたい。
あんなに大きな星だったファラム・オービアスが
もう豆粒程度の大きさになるまで離れてしまい、私はその光景を眺めながら、そっと貰ったヘアピンを指でなぞる。
ヘアピンの花は何かでコーティングされてるって言っていたはずだが、触った感触は花の柔らかさがそのままだ。
本当にコーティングされているのか心配になったが…まぁ、リュゲルが言うんだ。そうなんだろう。
ファラム・オービアスは地球なんかとは比べ物にならないくらい発達した星だった。
そういう技術があっても可笑しくないだろうし。
A「……」
皆帆「A、また星を見ているの？」
ワープのアナウンスが入るまでの間、暇を持て余していると、ふと隣に和人がやって来た。
私はいつも通り返事を返そうと思ったが、上手く言葉が出なかった。
そりゃそうだろ。だってさっきあんな事があったんだ。変に意識してしまう。
「おうん……」なんて中途半端な返事をして、思わず目をそらしてしまうと、和人はｸｽｸｽ笑った後に「何それ」と呟いた。
皆帆「もしかして、さっきの事気にしてる？」
A「あっ…当たり前だろ…あんなの。
順番が逆なんだよ……」
皆帆「おや？キミって意外とそういうのの順番って気にするタイプだったんだ？」
A「そ、そんなんじゃないケド…！
…ふ、フツーは告白の前に……き、きす……なんかしないモンでしょ」
皆帆「でもキスって好きな人同士でするものでしょ？
それで、Aは僕の事が好き」
A「っ……！？」
皆帆「勿論、僕もAが好き。
だから、してもいいかなって思ったんだけれど」
A「…………お前、そーゆーのよく平然と言えるよな……」
……イマイチ和人が恥じらう場面がわからない。
なんでそう、真顔で言えるんだろう。
少しは恥ずかしく思えってんだ。
皆帆「……もしかして、嫌……だった、かな？」
A「…………………そうは言ってないだろ」
それでいて、ズルい。
しょんぼりした顔でそんな事言われたら
例え嫌だったとしても嫌って言えなくなる。
でも次の瞬間には「だよね」ってｺﾛｯと表情変えやがって。なんか騙された気分。
ムカついたからそっぽ向いてやったら
「ごめんね」ってヘラヘラ笑いながら言われてしまった。
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