思い出なんだ ページ49
『思えば、あの時…お父さんがはぐれたのは、一緒にいるのが嫌になったからかもしれませんね』
寂しそうに古城は続ける。
そりゃ両親からしたらお互い顔を合わせるのも嫌になっている状態で、でも古城にはその事を悟られないよう振舞っていたのかもしれない。
そんな息苦しい状態から少しでも逃げ出したいと思うだろう。思ったから、わざとはぐれたのかもしれない。
『それでも私にとって、水族館は特別な場所です。
…楽しい思い出ですから。
だから、少しでも海を感じる場所がいいんです。
海の近くにいれば、その時の思い出をいつでも思い出せると思うので…』
「…」
何となく、その考え方は彼女の親父さんにも当てはまる気がした。
そう言えば彼女の親父さんも海の見える病院に入院していたな。もしかしたらあの人も古城と同じように水族館を、海を特別な場所だと思っていたんじゃないだろうか。
家だって比較的海の近くだったし、同じ理由なのかもしれない。…勿論、憶測でしかないが。
ただ、彼女の親父さんは古城を置いて行った事を心から後悔し、それでも自分を慕ってくれる彼女をあの人なりに大切にしていた。
もしも、親父さんも古城と同じように思っていたのなら。
「…似た者親子って事か」
『はい？不動さん、何か言いました？』
「いや、何でも。白無垢がいいなって」
『なぜ今？』
それらしい憶測にどこか微笑ましさも感じながら、適当に話をはぐらかした。
「ま、気長に探せばいーだろ。家も学校も。
困ったら協力するし、内見の付き添いとかも付き合ってやるからよ」
『言われなくても不動さんには付き合ってもらいますよ』
「…いや、そこは普通ヒロトとかだろ。言ったの俺だケド」
『だって将来、2人で暮らすんですよ？』
「違うよ？」
…相変わらず冗談か本気か分からない事を言う。
ツッコんでから思わず溜息を吐くと、向こうで古城は笑ってた。
「…じゃ、そろそろ切るぞ」
『もう切っちゃうんです？』
「なんだ？まだ話したい事あるのか？」
『白無垢が良いという事は、やはり式は和式にしますか？』
「おやすみ」
更に続きそうな話は色々と面倒になりそうで。
気付いたら俺は一方的に電話を切っていた。
そうしたら再度古城から電話が掛かり、当たり前だが怒られた。
まぁ、その後改めて「おやすみ」って言ってやったら、古城は少し不満そうに、それでも『おやすみなさい』って返してくれたがな。
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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