海の見える所がいいんだ ページ48
『こんばんは、不動さん』
「はい、こんばんは。寝ろ」
『嫌です。まだ不動さんと何のお話もしていないのに』
「しなくてもいーだろ。こんな時間に何の話するってんだ」
『不動さんは着物とドレス、どっちが好きですか？』
「ナンノハナシ？？」
電話に出て早々にカマしてきた、コイツ。
そりゃ決めるなら早い内がいいんだろうが。
……いや、そうじゃなくって。
「……で？明日から色々探すのか？」
『はい、そうです。出来れば海が見える場所が望ましいのですが……不動さんは良い所知ってますか？』
「いや、流石に……海外なら知ってるが」
『海外』
「ヴェネツィアって言うんだけど」
『べねちあ』
『私、パスポート無いです』と直後にしょんぼりされてしまった。
本気にしてしまったんだとしたら申し訳ないが全力で止めてた。言い出したの俺だケド。
……しかし、彼女はどうしてそうも�牾き瓩帽瓦襪里世蹐Α�
前々から言ってるよな。『海の見える場所がいい』って。彼女にとって海は感慨深い所なのだろうか？
もしかしたら、家族とのイイ思い出があるのかもしれない。
そう言えば……親父さんが住んでたマンションの近くにも海があったな。病院も窓から海が見える所だったし……
だとしたら、単純に親父さんを追い掛けての事なのだろうか？
「……なぁ、海の見える所じゃないとダメか？」
『はい？』
「いや、何も海の周りに限定しなくてもさ。
そっちの方が色々探せると思うが……」
『……』
気になってそのまま古城に尋ねると、今までやかましかった向こうの声が聞こえなくなる。
聞いたらダメなタイプの話かと思い、謝ろうと思ったが、その前に彼女が再び口を開いた。
『……昔、家族で水族館に行ったって話、不動さんにしましたよね？』
「ん？あ、あぁ……」
『あの後に私の両親は離婚したんです』
思わず相槌も打てなくなる。
彼女の声は、少し重かった。
『私にとって水族館の思い出は、家族で過ごした……最後の、楽しい一時でした。
……でも多分、それは私だけでしょうね。
思えばお母さんは私にばかり話し掛けて、お父さんにはほとんど視線も向けていなかったような気がします』
古城の両親は、古城が知らぬ間に仲が悪くなり、離婚した。
ならばその水族館に行った日にはもう夫婦仲は険悪で。でも古城に悟られないよう、表面上はいつも通りに過ごしていたに違いない。
母親の方も母親らしくしていたに違いない。
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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