パニックなのです ページ45
一瞬、ちょっとパニックになりましたね。
「なんで知ってるんですか???」って胸倉掴んで問い質したいぐらいには。
でもそんなの、すぐわかります。
だってそのお話をしたのは今の所、この世にただ1人だけですから。
「………………不動さん?」
「うん。不動くんから聞いたんだ」
案の定、犯人は不動さんでした。
なんで勝手に言ったんでしょう。
こちらにも心の準備というものがあるのに。
そう思っているのを察されたのか、ヒロトさんは「ごめんね」って申し訳なさそうに謝られました。なのでヒロトさんは許しましょう。
「それで……その、本気、なのかな?」
「……はい」
話を戻し、ヒロトさんは恐る恐ると言った様子で尋ねて来ますので、私は正直に頷きます。
そうしたらヒロトさんは驚いた顔をした後に「…そっか」って呟いて。少し間を空けてから、また続けて尋ねました。
「何処に行くの?行きたい学校とかあるの?」
「いえ、特に……ただお父さんが住んでいた所で海の見える場所がいいな、とだけ……」
「あ、全然決めてないんだね……」
本当に思い付きみたいなものですけれど、決意は堅いですよ。場所とかも決めないといけませんね。住む場所も考えなければ。あと学校も。
と、色々悶々と考えていると、ヒロトさんはふと優しく微笑む。そのままじっと見られている気がして、私は「どうしたんです?」と首を傾げると、ヒロトさんは何故か嬉しそうに答えてくれました。
「ううん。ただ、随分表情が動くようになったなぁ…って」
「表情……?」
言われて思わず自分の頬に手を添える。
自覚はありませんでしたけれど……表情、動いていたのでしょうか?
なんだがちょっと恥ずかしい気がして、思わず視線をそらすと、ヒロトさんはクスッと笑っておもむろに私の頭を撫でてくれました。
「ふふっ、恥ずかしがらないで。いい事なんだから」
「そうは言われましても……そんなに表情、変わっていました?」
「うん。少なくとも、今までよりはずっと」
笑われるのは恥ずかしい。でもヒロトさんは同時に嬉しそうだから、怒るなんて出来なくて。
黙りしてしまいましたら、ヒロトさんは苦笑いを浮かべた。
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*IJu*(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー! (2021年11月27日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください! (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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