ご用事なのです ページ44
「……では、どうしてお戻りに？何かご用事でも？」
無理にでも時間を作ってまで帰って来ているのです。きっと大事な用事があるに違いありません。
それなのに私のお話なんか出来るはずないでしょう。
仕方ないのです。やはり詳細はイナラインにてお話しましょう。
そう、思ったのですが、
「うん、Aちゃんに用事」
「へっ」
「此処じゃ人いるから、違う所で話そっか」
まさか自分に用事があるとは思わなかった。
しかも何だか大切な御用事みたいです。
戸惑いつつもヒロトさんの言う通り、そのまま広場を出て茶の間の方へ。
此処は前に……お父さんの訃報を聞いた所なので、あんまり好きじゃないのです。
そうでなくても元々ここには良い思いはありませんでしたが。
そんな所に通されて、内心私は緊張してしまう。
また、また何か嫌なお話でも聞かされるのでしょうか……？
悪い想像ばかりが脳内に浮かび、思わず項垂れる。
そうこうしているうちに部屋に着いて、ヒロトさんに促されるまま部屋に入ると、ヒロトさんは襖を閉めて対面する。
また正座か……と私は座ろうとしましたらヒロトさんに「足は崩していいからね」って言われたので、遠慮なく胡座をかかせて頂きますと、ヒロトさんに苦笑いされてしまいました。
あ、制服から着替えてズボンなので御安心を。
「それで……その。用事って何なのでしょう？」
ヒロトさんも正座したところで私は話を始める。
わざわざこんな、普段人が近寄らない部屋に案内してまで話す事に心当たりが無いので、少し疑問です。
……お父さん、の事だったら分かりますけれど。
でもお父さんは…………その。もう、いないですから。
だとすると、他に思い当たるものが無くて。
「ああ、それはね……」
私が尋ねると、苦笑いをしていたヒロトさんは表情を改めた。
少し困っているような、心配しているような。そんな顔をして。おもむろに私を見遣ると、その表情のまま、真剣に続けた。
「…………Aちゃん、ひとり暮らしするって本当？」
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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