放心するのです ページ39
「……本気、なんだな？」
ふと、不動さんはじっと私を見つめながらそう告げる。声音も今さっきとはがらりと変わり、私は1度背筋を伸ばした。
そうして1つ頷くと、不動さんは「そうか」と呟き、正面を向いた。
その横顔は何を考えているのか。
私にはわかりません。
「寂しいんですか？」
だから、ちょっとからかおうとしたんです。
あんまり真面目な雰囲気とか、好きじゃないので。
いつも通りの塩対応を期待して、私はそんな事を口走りました。
「……そうだって言ったら？」
「…………？？？」
でも、聞こえて来た返事は予想より180度違っていて。
私は思わず目を見張ったまま頭をバグらせました。
ああ……ズルい。それは、ずるい。
そんな顔で聞いてくるのは、ずるい。
しかも、その後すぐに顔をそらされたんです。
でも濃い茶髪の隙間から見える耳が赤くなっていて。
ああ、もう。本当に、不動さんは、もう。
「……悪ィ、忘れろ」
「はい……頭にも心にも刻み付けます」
「刻むな、忘れろ」
そんな不動さんを見たら、もう心臓がぎゅうってなって。苦しくて。でも、嬉しくて。
思わず転校の話なんてやめちゃおうかな、なんて思ったり。勿論、決めたからにはしますけれど。
ああ、此処が学校なんて所じゃなくて、周りに友人や先輩方がいなかったら、思いっ切り甘えられたのに……！
仕方ないので、それは今度にしましょう。
−−−
「ほーら、A〜！帰るよ〜！」
そんなこんなで、その後も不動さんのお傍で特訓している皆様を見守っていたら、あっという間に部活が終わってしまいました。
狩屋くんが荷物を纏めて私を呼びに来ましたので、名残惜しいですが私は不動さんから離れると、自分の荷物を持って不動さんに向き直ると、ぺこりと頭を下げた。
「では不動さん、また明日」
「俺は明日は来ねェぞ」
「ではまた明後日に」
「明後日も来ねェ。つか今週はもう来ねェよ」
「え……土日の練習も……？」
「うん」
「…………………」
「じゃ、さよなら不動コーチ〜」
……去り際に聞きたくない事を知ってしまった……
思わず放心してしまった私。
狩屋くんはそんな私の腕を掴んで、引っ張りながら最後に不動さんにお別れをする。
私も一応「さようなら……」と力無く手を振ると、不動さんも困惑の表情を浮かべながらも振り返してくれました。
はぁ……今週はもう、不動さんに会えないんですね……
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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