柄じゃないんだ ページ20
「そう言えば…ずっと気になってたんだが、」
少し元気になったみたいだし、俺はずっと気にしていた事を指摘する事にした。
言いながら彼女が握り締める拳を指差すと
古城は首を傾げて同じく自身の拳を見遣った。
「お前、さっきから何持ってるんだ？
随分握り締めてるが……そんなに強く握っても大丈夫な物なのか？」
「ああ……コレですか」
言われて古城は拳をゆっくりを開くと
中から出て来たのはクラゲのキーホルダー。
俺と水族館に行った時にでも買ったんだろう。
中の台紙は握り締められていた事によりｸﾞｯｼｬｸﾞｼｬになっていたが本体であるキーホルダーは無事だった。
そう言えばあの時、買ってたような……
「……いりますか、不動さん？」
「えっ？いいのか？」
「はい。元々はお父さんにあげようと思っていたんですが……不動さんにあげます」
「…………いいのか？」
タダのクラゲのキーホルダーかと思っていたが、元々は親父さんにあげる予定だったんだと。
そんなこと聞いたら途端に貰いづらい。
一応確認してみるが、古城はｺｸﾘと頷く。
そうしてキーホルダーを差し出すと、古城は苦笑いを浮かべた。
「私より不動さんに持っててもらった方が……なんか、気持ち的にスッキリすると言いますか。
不動さんとお揃いに出来ないのがちょっと残念ですが……」
「……本当に、いいのか？」
「はい、構いません。貰っちゃって下さい」
ちょっと悲しそうな、でも確かに吹っ切れたような表情で彼女は笑う。
一応念を押しといたが、それでも貰って欲しいと俺に差し出す。
俺はそのキーホルダーにおもむろに手を伸ばす。
ゆっくり伸ばして、受け取る直前で止めて、少し考えてから俺はそのキーホルダーごと古城の手を包み込むように握った。
不意な事で古城は驚いた顔をするが、構わずキーホルダーを持つ手を握らせて、そっと押し返すと
古城は俺の手と俺の顔を交互に見遣り、目を白黒させた。
「………えっ……と、」
「コレはやっぱり、お前が持ってた方がいいと思うぜ？」
「ど…どうして？」
「だって俺、クラゲって柄じゃねーもん」
「…………」
戸惑う古城に俺はそう言ってのけると、途端に彼女はきょとんとした顔で俺を見遣る。
そうして3拍子程間を空けて、古城はｸｽｯと小鳥のように笑うと「確かにそうでしたね」と呟いた。
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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