みっともなくなんてないんだ ページ16
……案の定、古城は蓋をしていたんだ。自分の感情を。
押さえ込んで、堰き止めて。何にも感じないようにしていたんだ。
だからやたらと変な事ばっか口走ってたんだ。
ふるふると微かに震える彼女の身体。
俺はそっと赤茶髪の髪を撫でると、古城は弱々しい声で「やめて下さい……」と呟いた。
でも振り払う気は無いみたいだから、そのまま撫で続けていると、次第にｽﾞﾋﾞｽﾞﾋﾞと鼻を啜る音が聞こえ始めた。
「……みっともない所って何だ？」
「………私が、泣く所」
「泣く所がみっともなくなんかねーだろ。
変に意地張りやがって」
「ダメ、なんです……そんな事したら、不動さんに嫌われます」
「そんなんで俺がお前を嫌うワケないだろ？」
「ダメ、です……不動さんの前だと……私……」
「……じゃあ、俺がいなくなればいいのか？」
「っ……それはヤですっ……！！」
本当はもう限界のはずなのに、誰に似たんだか変に意固地だから。
俺はそう言って彼女の頭を撫でるのをやめ、立ち上がると
今まで人形のように動かなかった彼女の身体がいきなりｶﾊﾞｯと勢い良く起き上がった。
泣き腫らした瞳。目の下の濃いクマ。
それでもまだ頬を伝う涙。
きっと彼女はずっと泣いていたんだろう。
慌てて顔を背ける彼女の隣に俺は腰掛ける。
すると古城は俺の服の裾を指先で掴んで、俯いた。
まだ顔は見せたくないようだが……さっきの言葉が効いたらしい。
こんな事してもどこにも行かないってのに。
「……お父さんの事、ヒロトさんから聞いたんですね」
「……ああ」
「酷いですよね。あんな手紙寄越して置いて。
まだ春になっていないのに、亡くなってしまうなんて」
�爐△鵑兵蟷罩瓩箸呂�っと、親父さんから貰った手紙の事だ。確か『春になったら迎えに来い』って感じの文章だったと思う。
笑い話にしたいんだろうが、彼女の口から出るのは乾いた笑い声だけ。
聞いてて逆に痛々しくて、俺の表情が微かに引き攣る。
また彼女の頭を撫でてやると、古城は更に俯いて
震える声で呟くように続けた。
「…………こうなる事は、わかってました」
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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