見られたくないんだ ページ15
「……」
「……」
……暫くは、お互い無言だった。
まぁ、そりゃそうもなるだろう。
彼女の親父さんが亡くなって、彼女自身が塞ぎ込むまで落ち込んでいるのに。どう声を掛けてやればいいのか。
今思えば、勢いだけで来てしまった自分はアホだ。
「(こういう時、どう声を掛ければいいものか……古城も妙なテンションだし……こんな状態で親父さんの事、話してもいいのか…？)」
「今日は天気がいいですね」
「…………はい？」
入ったはいいが、さてどうしたもんか、と俺が1人で考えていると気まずさに耐えかねたのか。
それともまた無理矢理ふざけているのか。
不意に古城がそんな事を口にするので、俺は思わず聞き返してしまった。
「あれ？もしかして雨でした？」
「……晴れだったけど」
「やっぱりお天気いいんじゃないですか」
「……おぅ」
「……」
「……」
「ところで不動さん、不動さんの好きなサイズはなんですか？」
「は？好きなサイ……サイズ？サイズって…何の？」
「ご想像にお任せします」
「ご想像にお任せするサイズって何だ」
……本当に突拍子もない事聞いてくるなコイツ。
内容はいつも通りなのに、言ってる表情が無から動かないんだからまた不気味だ。
いや……元々、最初に俺と会った時の古城はこうやって話すヤツだったんだろうけれど。
前のコイツは本当に顔の表情ミリも動かなかったから。
でも、最近の表情豊かな古城を知ってるから。
不気味であると同時に、自分の中で溢れ出そうな何かに蓋をしているような。そんな危うさも感じた。
「…………古城」
「そう言えばこの間のお土産、皆喜んでくれたようです。涼野さんはアイスじゃないってちょっと渋ってましたけれど。あの人アイス以外に好きな物無いんですかね」
「古城、」
「アイスと言えば、最近出たコンビニの限定アイス不動さんは食べました？私は食べました。味はとても独創的というかなんと言うか。ちょっと私には合わなかったですけれど。それに……」
「古城！」
「止めないで」
1人でズラズラとロボットのように淡々と喋る古城。
流石に異常なので止めようとしたら、反射的にそう言われて俺が止められてしまう。
ただ、その言葉を発した時の彼女の声だけは、酷く震えていた。
「止めないで、下さい」
心から懇願する声。
彼女は枕に顔を埋めると、か細い声で続けた。
「不動さんには、みっともない所を見られなくないんです……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
