本気じゃないんだ ページ12
「狩屋……」
「……あー、なるほど」
思わず振り返ると、狩屋は何か納得したのか。
1人でﾎﾞｿｯと呟いた。
狩屋の声に向こうも気付いたんだろう。
インターホンの向こうのヤツも『おー、狩屋。おかえり』と俺を無視し、狩屋もインターホン越しに声を掛けた。
「ただいま。……で、不動コーチはどうしてこんな所に？」
「古城に用があって…！直接話したいんだ！でも……」
『だからAは会えないっつってるだろ？
具合悪いってんだ』
「……だってよ、不動コーチ」
「か、狩屋…！」
『とにかくソイツはとっとと追い払ってくれ。
会いたいんなら日を改めるんだな』
「っ……」
「……はーい」
そのままインターホンからの声は聞こえなくなり、俺は拳を握り締める。
この様子じゃ狩屋に頼み込んでも無理だろうな……
なんか睨まれてるし。
どうにかして古城と話したいが……無理だろうか？
ヒロトに頼めば行けるか……？それともこっちから連絡してみるか……？
いや、でもヒロトは忙しいヤツだし。何度かこっちからも連絡したが返事は無し。
いっそ電話越しでも話せたら……
クソっ……今日は諦めるしかないのか？
しかし、そうなるといつになったら古城は話せるようになる？またいつも通り話せるようになる？
その時にはもう手遅れになってたり…………
「……不動コーチ、」
不意に腕をつつかれ、我に返る。
顔を上げると狩屋が、何故か声を潜めてお日さま園の玄関を指差していた。
「俺が玄関開けるんで、そしたら不動コーチも来て下さい」
「えっ……？」
「多分、南雲さんが出て来ると思うんですけど、構わずAの部屋に行っちゃって下さい。俺、南雲さん止めるんで」
狩屋の唐突な提案に俺はただただ呆然としてしまう。
さっきまで、あの野郎の言う事に賛同していたってのに。どういう風の吹き回しだ？
……そんな考えが顔に出ていたのだろうか。
狩屋は怪訝そうな顔をすると、言葉を続けた。
「……さっきはすみません。
インターホン繋がってたし、ウチのカメラも付いてるんで。適当に相槌打ってたんです。
だから、別に。本気じゃないし」
ﾁﾗﾘと横目でインターホンを見遣りながら、狩屋はそう言って途端に申し訳無さそうに視線を落とした。
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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