△リボンが73こ▽ ページ27
「＿＿ね、じんくん？」
「えっ？……おわっ？！」
不意に話し掛けられ、真名部は我に返ると
途端に眼前にAが迫っていた。
至近距離で真名部の瞳を覗き込むAに真名部は思わず声を上げ、倒れにそうになりながらも後ろに後退る。
その際、周りから奇異な目で見られてしまい
真名部は反射的に帽子を目深まで被り、すぐに平然を装うと、ｷｯと彼女の方を見遣る。
だがAは何も気付いていないのか。
真っ赤なヒールの靴の片方を手に取りながら、真名部に尋ねた。
「これって、お試しで履いてみたりしてもいいのかな？怒られないかな？」
「お試し…？ああ、試着ですか？」
「しちゃく……？」
「えぇっと…まぁ、今アナタが言った意味そのままです」
どうやら彼女が気になった靴が見つかったようだ。
しかしその靴はヒールが10cmはありそうな、急な角度の靴だった。
思わず真名部はその靴を見て呆れ、そして彼女の足を心配する。
確かに彼女の今履いているスニーカーも踵を踏んでしまっているので足を可笑しくしてしまいそうだが
この靴もこの靴で爪先をダメにしてしまいそうな気がする。
でも本人が折角気に入っている手前、そんな事言えるはずもなく。
とりあえず真名部は近くにあった椅子に座らせると、彼女に靴を脱がせた。
「足のサイズは何cmですか？」
「あしのさいず？」
「……あぁ、そうだ。アナタ、サイズがわからないんでしたっけ」
彼女に尋ねてから、真名部は彼女が『サイズ』の言葉の意味から知らない事を思い出す。
これでは折角気に入った靴があっても、自分にピッタリの大きさを探せない。
まずは彼女の足のサイズを知る事からだ。
とりあえず真名部は彼女が持っていた靴を彼女に履かせる事にした。
その靴から大凡の彼女の足のサイズを予想しようとしたのだ。
靴を脱いで彼女は傍らに2足揃えると、持っていた真っ赤なヒールを自分の足の前に置いて、そっと足を乗せる。
そうして、するすると滑り台を滑るように爪先を靴の中に滑らせる。
ちゃんと踵も入った所を見るに、この靴は彼女の足に対して小さい事は無いようだ。
「入った！入ったよ、じんくん！」
「良かったですね。窮屈ではありませんか？」
「うん、大丈夫！ピッタリ！」
それどころか、サイズピッタリなようで
彼女はもう片方も履いて足を伸ばすと、真っ赤なヒールを履いた自分の足を見てうっとりと目を細めた。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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