△リボンが59こ▽ ページ13
「…！」
真名部は手を差し出し、彼女にそう言うと
Aはきょとんとした顔で真名部を見つめる。
だがすぐに嬉しそうな顔をして頷くと、真名部に自分の家の鍵を託した。
「(何やってるんでしょう……僕は)」
自分に呆れながら真名部は彼女から鍵を受け取ると
彼女が手こずっていた鍵閉めを代わりにやってあげる事にする。
とは言っても鍵の開け閉めは鍵っ子の真名部には最早慣れた事。
ｶﾁｬｯと子気味のいい音が鳴り、扉の鍵を閉める事に成功すると、Aは隣で「おぉ〜！」と感嘆の声を漏らしながら手を叩いた。
「カギ閉めるの上手だね、まなべ！」
「アナタが力任せにカギを回し過ぎなんですよ…
ちゃんと奥まで刺してから回さないと」
ちゃんと鍵が閉まった事を確認してから、真名部は鍵をAに返すと、Aはその鍵を受け取って財布と同じポケットの中に突っ込んだ。
そうして彼女は片腕を掲げて「しゅっぱーつ！」とまるで子供のように言い放つと、そのまま歩き出したので真名部もその後を追い掛けた。
「(……大丈夫でしょうか。目立ってませんかね……)」
Aの隣に並び、ｷｮﾛｷｮﾛと忙しなく辺りを見渡す真名部。
もう少しでお昼になる頃の住宅街。
人通りはそれなりで、人とすれ違う度に真名部は帽子を深く被って、自身の正体がバレないよう努めた。
真名部が今、最も恐れるのは見つかる事。
真名部の顔はテレビで公表され、世間では誘拐された少年としてそれなりに認知されてしまっているだろう。
帽子で顔を隠し、服装も誤魔化してはいるものの
自分の友人には人間観察が得意でやけに鋭い人間がいる。
もしも、そんな人間が自分の近くにいて
そのせいでバレてしまったら、どうしよう、と。
何故か真名部はこの時、その心配ばかりしていた。
「……？どうしたの、まなべ？
そんなにキョロキョロし……」
「わっ？！ち、ちょっとっ！」
人とすれ違い、真名部がまた帽子のツバに指を置くと、不意にAが不思議そうな顔でいつものように話し掛けて来た。
その時に名前を呼ばれ、咄嗟に真名部は彼女の口を塞ぐ。
そのせいで前方から自転車に乗って来ていた男性に通り過ぎざまに首を捻られてしまったが、上手くやり過ごせたようだ。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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