【銀魂】江戸に住んでもろくなことない。

9.　待ちぼうけ ページ9

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あの日から数週間。
私は相変わらずお妙さんと新八くんのところに身を寄せている。


悪い悪い、とは思いながらも
好きなだけいていいんだよと温かく接してくれる二人に
どうしても甘えてしまう。


「…なんとかして生活立て直さないとなあ」

「言葉と体勢かみ合ってねェけど。どうなってんのソレ。頭に血ィのぼんねェのソレ」


ソファの背もたれに預けた足をばたつかせると、
上下逆さになった視界が揺れる。

"神楽でもそんな座り方しねェよ"と
特等席で開いたジャンプを頭に乗せた銀さんは足を机に投げ出した。


「銀さんこそ、真昼間からその体たらく
社長さんってもっとチャキチャキしてるんじゃないんですか…って銀さんだしなぁ」

「オイせめて一言突っ込ませろよ。一人で完結すんな」


神楽ちゃんや新八くんは
私が来る前に各々出かけて行ってしまったらしい。

せっかく遊びに来たのに、ツイてない。

そのうち帰ってくるかなぁなんて思いつつ、
かれこれ一時間半ほど経ってしまった。

知り合って大して日は経っていないけど、万事屋はなんだか落ち着く。

うだうだ言いながらも
迎え入れてくれるのは、銀さんなりの優しさだ。

それか、たまに持ってくる差し入れ目当て。


「ジャンプ、私も読みたいんですけど」

「今俺のアイマスクだから後でな」

「やーだー」

「お前なんか会ったときより幼児化してねぇか」

「女には色んな顔があるんですよ、知ってました？」

「ヘイヘイ、恐ろしいこって」


衣擦れの音。視界の隅で銀色の髪がフワフワと揺れる。
かと思うとすぐ隣でソファが沈む。


「…知ってっか、いろんな顔持ってんのは
女だけじゃねーんだぞ」


すると足に銀さんの手が触れた。
ハラハラと着物の裾がかかる。

「銀さん？…あぉおっ」


起き上がろうとすると、バランスが保てなくなって
頭から床に転げ落ちそうになる。

これは痛いぞ…

そう覚悟した瞬間
パシッと腕をつかまれてグイッと引き戻される。


ぽすん、

勢いでそのまま銀さんの胸に収まってしまった。
見上げると思ったより銀さんの顔が近くてどきっとしてしまう。

いつもあんなにぐうたらしてるのに
触れた胸元はガッシリしているから驚きだ。


「あ、ありがとう…ございます」

「おめェもいい歳なんだから
もっと警戒した方がいんじゃねーの」

「なんのことです？」

ん、と銀さんが指指す方をみると
はだけた着物の裾から
自分の太腿が露わになっていた。


「…あちゃぁ」


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