検索窓
今日:14 hit、昨日:19 hit、合計:48,819 hit

8. 面影 ページ8

.



「冲田くんね、おぼえた」


女がサド丸を撫でる手つきは優しい。

今日から一文無しだと言っていたけど・・・・
とてもじゃないがそういう風には見えない。

はじめは攘夷浪士からの差し金なのかとも考えた。

でもなんだか、まとう空気が妙にゆったりしていて
単純に危機感というものが果てしなくないのかもしれない。


『私も混ぜて』


そういって隣へしゃがみこんだときの、甘く優しい香り。

うっすらと頬を緩めながらサド丸とじゃれる姿から
悪意は何も感じなかった。


「若いのに真選組なんて、えらいね」

こちらへ微笑みかけるAさんに
一瞬、姉上の姿が重なる。


「…子供扱いすんじゃねェや。俺ァもう18でィ」

「18か、私の4つ下だ」


こみあげる感情が難しくて顔がみれない。

全てを肯定してくれるような、姉上がくれた優しさを彼女の中に見てしまう。
そんな自分が信じられなかった。

たぶん、今俺変な顔してる。


「あれ?もう行くの?」

「…そろそろ戻らねぇと、土方サンが面倒くさいんでィ」

「冲田くん」


ニャアァ

呼び止められて振り向くと
目の前いっぱいにサド丸の顔

横からちょこっと顔を覘かせて、Aさんが悪戯っぽく笑う。


「また今度、私もみにきていい? サド丸」

「別に俺に聞かなくったって…」

「そう?じゃあ勝手にみにくる」


サド丸を抱きかかえて、嬉しそうに微笑むAさん。

もしまた会えるなら…。
そんなことを考えてしまう自分に心底驚く。



「たまに、餌でも持ってきてやってくだせェ」

気持ちを整理したくて
やっと絞り出した言葉を置いて、その場を離れることにした。







/



一方、通りすがりの監察・山崎退とその仲間

「冲田隊長が…あんなにしおらしくなってる…」
「ぶふッ…」


バズーカの音がどこかで響いた。


.

9. 待ちぼうけ→←7. 少年と猫


ラッキーアイテム


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
219人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。