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35. 夢心地 ページ35

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ふと目を覚ますと
襖越しの闇が蒼くなっていた。

陽が昇る前の穏やかで寂しい空気が部屋に漂う。


俺の腕を枕に眠るAさんは、まだぐっすり眠っている。

年上のはずの彼女の寝顔は
なんだかあどけなくて頬がほころんだ。

顔にかかる細い髪の束を撫ではらうと、
俺がつけたいくつもの印が
首元に鮮やかに痕跡を残している。

無垢な表情にそぐわぬそれらは
昨晩の行為で彼女に刻み付けられた傷だ。

想いだすとまたぞくりとあの時の感覚が俺の心を撫で上げる。


沖田くん、沖田くん

何度も俺を呼んだAさんが愛しくて愛しくて
タガが外れた俺の心はいくらでも彼女を求めた。


何度も唇を落とした肌へ
朝一番の口づけを落とす。

優しく布団を肩までかけ直してやると、
もぞっとAさんが甘えるように俺の胸元にくっついた。

うっすらと目を開いた彼女と目が合う。


「あ、起こしちまいやしたか」

「んん…?ううん…?
あったかいなあって」


まだ意識が夢との間にいるんだろう。
舌ったらずな声を発して
Aさんがふにゃあっと笑う。


いつも、日の出前に目を覚ましてしまった時に心を支配する孤独が
今日はどこにもいない。


代わりにいるのは
気の抜けた笑顔で俺を見つめるAさん。


「まだ疲れてんだろィ、寝ときなせェ」

「ん…おやすみぃ‥‥」


おでこにキスを落とすと
Aさんは
んふっとくすぐったそうに身を揺らした

自然と俺の顔も締まりが悪くなっていくのを感じた。

絶対間抜けな顔してるけど
見えてないしいっか。


また夢の世界へ戻ろうとする彼女が
俺の意識も微睡の中へと連れていく。

心地よいその優しい引力に身を委ね、

俺は彼女を抱いて
また意識を手放すことにした。





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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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