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17. 感受 ページ17

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沖田くんがやや乱暴に
私を壁に押し付けた。


「…“私が”なんですかィ」


先ほどまで私を心配していた
優しく純粋な瞳が、今度は切な気に私を見つめる。

それはなんだか悔しそうで、
悲しそうで、苦しそう。

私は、何も言えなくなってしまった。


「Aさんは、隙だらけ。その気になれば…だれでも。
こうやって好きにできてしまう
…そういうことですよね」


いつもの可愛い沖田くんは何処にもいない。


「旦那に、どんなことされたんです?
思い出して赤くなるようなことだったんですか?

…俺に同じことされても、あんな顔をするんですかィ。
…それとも、旦那だから…?」


私の顔の横にあった沖田くんの拳に力が入る。

ぐぐっと距離を縮めてくると、
彼はトンと私の肩に頭をつけた。ずしっと、重さが肩にかかる。


「Aさんも、俺を置いていくの」


あぁ、どんな言葉をかけてあげればいいのだろう。

ごめんね、沖田くん。
貴方の寂しさを
私が埋めているつもりでいた。

だけど全然、足らなかったね。

私一人が埋めれるほど、貴方の傷は浅くないんだね。


沖田くんの背中に手を回して
ぎゅうっと抱きしめる。

なんだかんだ、こうして身体がくっついたことは
何度かあったのに
今抱きしめている沖田くんの身体は、いつもより小さく感じた。


「沖田くんは、誰に置いて行かれたの?」

顔を上げた沖田くんと目があう。
瞳が少しだけ潤んでいる。

「それは…」

彼の頬に手を添えて見つめると、
私の手に凭れるように沖田くんが首を傾ける。


「私、ずっと貴方のこと見てきたよ。特に、屯所に奉公するようになってからは。
そんな私から見れば、沖田くんは優しい。不器用だけど、誰かに嫌われるような人じゃない
そう思うの」


私は皆と知り合って、一番日が浅い。

だからこそ、
一歩引いてみえる部分は多い。

まだまだ、沖田くんも含めて
彼らのことは何にも知らないけど


「私が知る限り、見る限り、
沖田くんも、みんなも
一度繋いだ手を簡単に振り払うような人じゃ
ないんじゃない?」


何癖もあったって、
そこは皆変わらない。それは沖田くんも例外じゃない

だから、私は救われたんだ。


「Aさん…」



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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