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「僕？」
『うん、マシューの番』
「わあ………行ってくるね」
『いってらっしゃい。マシュー、頑張って』
「頑張れメテュや！」
「頑張れー！」
「ありがとうございます〜」
『マシューなら大丈夫だよ』
「うん、ありがとうA^ ^」
練習生達の歓声に包まれながらマシューはハイタッチを交わし、可愛らしい足付きで別室へと歩みを進めていった
画面越しに始まったマシューのテスト
登場からマスターさん達を笑顔にするマシュー、やっぱりあの笑顔は1番の武器だ
音楽が始まれば、ダンスは相変わらずキレキレで、歌声もすごく安定していた
『わあ……さすがマシュー。本当に上手』
「ヤー…オールスター決定だね」
「これで違かったら結構厳しいテストだよ！」
みんなで感心しながら見つめているなか、マシューのテストはほとんどミスなく終了した
練習生達が拍手し、マシューの帰りを待っていると、評価を終えて戻ってきた話題の人物が扉をゆっくりと開けた
「めてゅや！！お疲れ様！」
『お疲れ様、マシュー本当に上手だったよ』
「最高だった！」
「ヤー同然オールスターでしょ？」
「焦らすなよ〜〜〜」
「……」
僕たちの声に対し微妙な顔をしたマシューは何も話さなかった
そのままふらふらと3スターの場所へと向かい、少しだけ声を漏らしながら勢いよく腰を下ろした
瞬間、全員から湧き上がる疑問の声
「え？！」
「マシュー！？」
「ここだよ、」
「本当に言ってるマシュー！？」
「…本当だよ」
「what?!」
口々に信じられないと話す面々
斯くいう僕も本当に信じられず、思わず駆け寄ろうとした足を止め立ち尽くしてしまった
「緊張したみたいだ…」
「そう見えなかった」
「マジで上手かった！」
「はは……」
「そんな…」
「……マシュー……」
『………』
少しだけ笑顔は見せるものの、練習生に囲まれ涙ながらに話すマシューに僕は何も言えなくなってしまった
彼の頑張りを、踏ん張りを、溢れ出る自信を知っていたから、かけるべき言葉を見つけることができなかった
『マシュー…』
僕はゆっくりと近寄り、小さく縮こまってしまった背中に手を当て、未だ流れる涙を拭うマシューを労るように撫でた
マシューは「A」と僕にだけ聞こえるぐらいの声で名前を呼び、手を握り締めながら僕の胸へと顔を埋めた
「本当に頑張ったんだけど……ダメだったみたい……」
『そんな…』
「……」
『………マシュー…？』
「……………ん……？」
・
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作者名：えのもと | 作成日時：2023年3月19日 14時
