夜空の星になれたなら【男主】 (ページ45)

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「これはAを信じたからできたことなんだよ。そうじゃなきゃ今も僕はずっと不安の暗闇を彷徨ってた」

ヒョンの眉が少しだけ下がる

「だからA、
不安で、孤独で、どうしようもなく苦しい時には
僕や周りの大切な人を信じてあげて」
「僕や大切な人がそうした様に、今度はAが信じてあげるんだ」

ヒョンの言葉は
あっさり、
まるで当たり前かの様にぴったりと、
僕の胸の隙間を満たしてくれた

外国語で自分の思いを正確に表現することは本当に難しい、それなのにヒョンの話す言葉はどれも優しくて、心から僕を思ってくれていることがひしひしと伝わってくる

あぁ
きっと僕は独りよがりな考えをしていたのだろう

僕が母さんを、僕が家族を、僕がいなくちゃ

“僕”が“僕”を苦しめていたんだ

……答えはずっと前から出ていた
だって母さんはいつだって僕を信じてくれていたから

きっと僕1人を韓国へ送るのは、どんなにたくさんの思いがあっただろう
でも母さんも父さんも僕を過剰に心配することは決してなかった
言いたいことは山ほどあったはずなのに、いつだってAならできる、大丈夫って、僕を信じてくれていた
だから僕はその愛情を背にずっと頑張ってこられたんだ

ヒョンが僕の問題に気づいてるのかは分からない
無意識のうちに母の話題を避けていたかもしれない
けれどそんなことは決して重要ではなかった

僕を信じてくれる人がいる
僕も信じたい人がいる

それだけで、僕の悩みがちっぽけに思えてくるんだ

『…ヒョン』
「ん？」
『ヒョンありがとう、
僕、やっと踏ん切りがついたみたい』
「…そっか」
『ヒョンのおかげだ、ありがとうハオヒョン』

そう話すとヒョンは首を横へ振った

「ううん、違う。これはA自身が自分を救ったんだよ。僕のおかげなんかじゃない」
「良い行いはね、必ず返ってくるんだよA」
「だからこれはAが今まで頑張ってきた分のお返しなんだよ、分かるよね？」

ハオヒョンは僕をぎゅっと抱きしめてくれる
「もう1人で悩むのは禁止」と話すヒョンから、初めて会った日のように少しだけ鼻を啜る音が聞こえ、僕の心は暖かくなった

『ヒョン大好き』
「僕も大好きだよ」

母さんを、ハオヒョンを、みんなを信じよう
僕を信じてくれた様ように

“心配なんか必要ない”って思えるその日まで

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