夜空の星になれたなら【男主】 (ページ43)

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……正直母さんの声を聞けてものすごく安心した
携帯が絶対使えないわけでないけど、ある程度使用を制限されている環境下
ほとんど毎週母さんと電話することで体調を確認してたから、もしこの使えない期間に何かあったら…なんて最悪なことを想定してしまう

ハルトくんの言葉で多少は心配性なところが改善されたと思ったけど、やっぱり母さんの声を聞くと押さえていた感情がじわじわと溢れかえってしまうようだ

少しの沈黙の後、母さんが口を切った

「……A」
『…うん？』
「………ママが心配？」

図星をつかれても、あまり驚かなかった

分かってた
母さんが僕の気持ちに気がついているって
父さんが亡くなってから明らかに増えた僕からの通話、きっと母さんが察するには十分だった

『……心配に、決まってるでしょ』
『練習してても、歌ってても、笑ってても、
心の片隅にはいつも母さんを想ってる』
『母さんが元気なのは知ってる、分かってる
それでも僕は母さんが心配で心配でたまらないんだよ』

気づいたら、少しだけ焦る様に話していた
……母さんに、こんな事言いたくなかったのに

『…………ごめんなさい』
「……ううん、ごめんねA
ママ、心配かけてるんだね」
『……』
「ママがAを想っているように、きっとAもママを想ってくれているんだね
親にとってそういう想いは本当に嬉しいことなんだよ」
「ありがとう、いつもママを想ってくれて
ママは優しいAが好きだよ」
「でもあまり心配しないで？
Aなら大丈夫、…大丈夫
怖いことなんて一つもないよ、大丈夫」

僕は優しくなんかない、大丈夫なんかじゃない
誰かを失ってからしか大切さに気づけないバカだ
母さんを想うたびに、自己嫌悪に陥るほどにバカな息子なんだ

『……会いたいよ、ママ』
「………うん、ママもすごく会いたい」

いつだって僕の心の拠り所は
母さんなんだ

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