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ある日の練習中、それは突然やってきた



「A練習生」
『? はい!』
「次です、どうぞ」
『…………あ…』





今日は

最も話したい人に電話をかけていい日、らしい








「A?」
「? おーい」
「行ってきなA」
『あ…うん』
「泣くなよ〜ㅎㅎㅎ」
『もうケイタくん……いってくるね』
「いってらㅎㅎㅎ」
「いってらっしゃい!」


いつもだったらもっといい返しができたのかな、なんて少し思い返しながら重い腰を持ち上げる



「Aくん」



考え事をしながらドアへと向かう僕の手をハルトくんが掴んだ


「……」



不自然に顰められた眉
言葉に詰まるハルトくんの目が物語る

………うん、わかってる
言いたいこと、なんとなく分かるんだ




『…大丈夫、ありがとうハルトくん』
「……うん、ごめん。いってらっしゃい」


ハルトくんはゆっくりと手を離すと、神妙な面持ちのまま僕をドアの外へと送り出した

………ハルトくんは優しいな









案内されスタッフにスマホを渡されるとそのまま部屋の中へと誘導される
小さな部屋でカメラが僕を囲っている
慣れてきたけど、やっぱり変な感じ



『…』


後ろめたいことがあるわけじゃないし、妙な間を作ったら変だと思い、一呼吸置き、スマホを鳴らした



prr….








「もしもし」
『……もしもし、母さん?』
「あらA?久しぶり」
『久しぶりだね』



久々に聞く母の声
変わらない声に心がホッとする



「どうしたの?」
『電話をね、かけて良い時間だったから母さんに電話したんだ』
「そうなのね、久々に声が聞けてよかった」
「ちゃんとご飯食べてる?怪我はしてない?」
『うん大丈夫だよ、むしろ健康的な生活してる
母さんは?変わりはない?』
「ママは元気、今日はお隣さんからケーキもらっちゃって2つも食べちゃったㅎㅎㅎ」
『さすが母さん…ㅎㅎㅎ元気そうでよかった』


壁にもたれかかり座る
電話口からテレビの音が消えた


「大変?」
『うん?大変じゃないよ、毎日楽しい』
「本当?それなら良かった
ちゃんと先生とお兄さん達の言うことは聞いてる?」
『うんㅎㅎㅎ母さんが僕の兄さん達と会ったら悲鳴あげると思う』
「かっこいいの?」
『かっこいい』
「やだ……ケーキ分ランニングしてこようかしら……」
『ㅎㅎㅎㅎ』



よかった、
いつも通りの会話のテンポに安心する



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作者名:えのもと | 作成日時:2023年3月19日 14時

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