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全体での練習も終わり、宿舎へと帰った僕はその足で人気のない廊下へと向かい1人練習を再開した
たった数日しかない中で、曲を丸々ひとつ覚え、それを人前で発表するレベルまで持っていく
過酷と言って間違いはないスケジュール
でもその中でどれだけ完璧に近い状態へ持っていけるか、それは自分たちの努力次第だと僕は思う
(できることは全部やろう、そう決めたから)
拝借した音楽をならしながらひとつひとつ動きを確認していると奥から人の話し声が聞こえた
先ほどからもよくあったことなので、あまり気にせず踊り続けていると何故か声がどんどん近づいくる
「…お?ヒョン、あれ」
「……」
「噂の子だね。話しかけ………ってもう行ってるし………」
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「アニョハセヨ」
近づいていた人の声はいつの間にか僕のすぐ後ろまで近づいていたようで、至近距離から聞こえた声に思わず驚いてしまう
『わ………アニョハセヨ……?』
振り向いた先にいたのは
何度も顔を抜かれていた噂のセクシーな練習生
思わずぺこりと頭を下げる
「キムジウンです」
『キムジウンさん…』
心の中で知ってます、と呟きながら見つめる
シャワーを浴びたあとだからなのか、舞台で見た彼よりもよりセクシーで思わず目を背けたくなった
「ヒョン足早いって……
…お、アニョハセヨ^ ^」
『ア、アニョハセヨ』
「ユンジョンウです、Aさんだよね?」
「よろしく」と言って差し出された手を握る
その流れでズイッと手を出すジウンさんの手もしっかりと握った
ジウンさんとジョンウさん
大人びた雰囲気と顔の2人に囲まれ、ジロジロと観察されている気分になるぐらい隅から隅まで見つめられ、なんだか居心地が悪くなる
『……あの』
「Aって呼んでも?」
『あ…はい』
「今日のステージ完璧だった、上手だね」
「このヒョンずっと褒めるんだよ横でㅎㅎㅎ」
「本当に珍しくうるさかったんだから」とジウンさんを指差しながら笑うジョンウさん
斯くいうジウンさんの表情はあまり変わらず、本当に褒めているのかと心配になる
そんな僕の顔に気づいたのかジョンウさんがため息をついた
「………はあ。ヒョン、真顔怖いって」
「………ん?俺笑ってない?」
「全く」
「………ごめん、冷たく見えるってよく言われるけど、結構本気で褒めてた」
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作者名:えのもと | 作成日時:2023年3月19日 14時