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『ヒョンは？』
「……僕も、悔しい」
『ふふ、…うん。僕、ハオヒョンならそう思ってくれてるって信じてた』
横を歩くAの顔は笑顔だった
大きくて綺麗な目がきゅう、と閉じるその瞬間がとても綺麗な笑顔
「…この先、KとGで分かれて戦っていくなら、僕たちってかなり不利だよね」
純粋な僕の不安だった
生き残りをかけて切磋琢磨しながらも、無慈悲に切り落とされていく現実が怖かった
「…Aは不安じゃない？」
『……少しだけㅎㅎㅎ
確かに僕らは足りない部分が多くて、Kと同じラインには立ててないかもしれない』
『でも、その分僕たちにはまだまだ伸び代があって、それを学ぶ機会がここにはたくさんあるってことでしょ？』
『確かに険しい道ではあるけど、それでも僕はこの番組でデビューしたいって思う』
「……」
『ヒョンと同じぐらい僕も真剣だったから、ヒョンの落ち込む気持ち、本当によく分かる。
でも、だからこそ今、全てがうまくいかなくても自分を責めないようにしよう、僕ら。』
『まずは僕ら外国人がオールスターでスタートラインに立てた。この事実だけを讃えよう』
僕の手を握る力に熱が篭る
あぁ、やっぱり僕は正しかった
初めて舞台袖から出て来た時の表情
僕の横を早足で通り過ぎる時の視線
振り向いた先に綻んでいた笑顔
あの時、僕の直感が決してこの人を逃してはいけないと叫んだんだ
『ハオヒョン、絶対一緒にデビューしよう
大丈夫、僕らならやれるよ』
ステージに立つことさえ畏怖を感じて、圧巻のステージをしても評価を得られるその瞬間まで不安な顔をしていたのに……
どうしてなんだろう
Aが発する言葉達は、僕の心へじんわりと染み込んで、全て大丈夫だって思わせてしまう
本当に、本当に不思議なんだ
「……はは、ありがとうA」
『僕もありがとう。同じ気持ちでいてくれて、僕の気持ちを置き去りにしないでくれて』
「置き去りになんてしないよ
僕、物事を重く考え過ぎちゃう時があるから」
『僕は、物事を思慮深く大切に扱うヒョンを尊敬するよ』
「ありがとう、そんな言い方もあるんだね。」
「……………A」
『うん？』
「僕ら上だけを見つめて、お互いを信じて、必ずデビューしようね」
『ふふ、うん。約束』
繋いでいた手を離し、Aの肩を引き寄せ、僕の体重を少し預けるようにして長い廊下の歩みを進めた
いつかAの重荷を僕が預けてもらえるように
・
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作者名：えのもと | 作成日時：2023年3月19日 14時
