【A3!】誰かの1番になりたい。

▼ ページ29

めんどくせえ、



最初に思ったことはそれだった。


お世話…と言うほどまだ居候していないが、取り敢えず良い印象を持たせるために寮の皆にお土産を買って帰ろうとした。


勿論、太一にも内緒だから太一には「用事がある」と言って帰ってもらった




そして1人になった瞬間、腕を引っ張られ口を塞がれ路地裏に連れていかれる。


その正体が誰かなんて、言うまでもないなく分かっていた





「何の用？景助」

「「何の用」、だあ？それはお前が1番分かってんだろ。何してた、アイツと一緒に」

「何って…ナニ？」




見崎 景助。やっぱりさっきのは見間違いではなかったと、さっさと帰ればよかったと後悔する。


私が意味深な笑顔で答えると、彼は戸惑う素振りもなく右手に拳をつくり、私をぶん殴った



口の中に血が広がり、鉄の味がして不味い。
ぺっ、と血を吐き出す



「っ、乙女の大事な顔(商品)に何する気？」

「はっ、てめえが舐めたマネしてるからだろ」

「……」




「舐めたマネ」、か…。
私と出会った時のような優しい笑顔は何処へいったのか。今の彼はニヤリと気持ち悪く笑っていた

▼→←▼

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す