君を待っていた【第五人格】

治療後の30分 冒険家 ページ40

包帯は綺麗でどこにもほころびは無い、おぉっと思っていると冒険家は少しなんとも言えないような笑みを浮かべては、軍人やってた時に覚えたと説明くれた

『カートさん軍人だったんですか』

「一応ね、でもやっぱり僕は物語を追い求める方が好きで全然合わなかったよ」

物語…確かに彼はいつも肌身離さずにお気に入りのガリバー旅行記を持っている、この部屋にもガリバー旅行記以外の物語が多くあり目につくだけでもイカロスや不思議の国のアリスなどある。
それらを見ていた私に冒険家はやや嬉しげな声で興味があるなら貸すよと言ってくれたので私は好意に甘えることに

少し考えて私が借りますと本棚に指さしたさきにあるのはまぁまぁ分厚い本、読んだことない本であり珍しいものなので借りれると言うなら全力で借りよう。冒険家にこれ借りますと宣言すると借りてもいいけど…と口を濁す
ダメな本かやはり、珍しいもんな

「それ重いでしょ？足捻ってるなら部屋まで運ぶのは難しいんじゃないかな？」

…あぁ私は先程足を捻ったのだった…珍しい本で忘れてたな
なんて思ってるとごめんねという一言が聞こえては体が浮き上がる感覚、これはまたもやお姫様抱っこ！！

「一旦部屋に送るよ、本は後で持っていくから」

流石に2度目の姫抱きなので少しは冷静でいられたが、ベッドに優しく降ろされた時はちょっと心臓に悪かったです。安静してねと言いながらでていく冒険家の背中を見送り数分後私が借りたいと言った本を持ってきたが、机とセットしてた椅子をベッドの脇に持ってきてそこに何故か腰かける

「この本僕も好きだしAさん寝れないって言ってたから読み聞かせようかなって」

リラックスしていいよ、と言われたがリラックスが難しいと思うのは私だけなのか
私の気を知らずに冒険家は本を開いてはにこやかに始めるよと口にした



思いの外と言っては失礼だが、冒険家の語りは上手く声はそのは私をゆっくりと眠りに誘う
眠れなかったのが嘘のように私はうつらうつらと意識が消える寸前になる
そして最後見えたのは優しげな顔で本を閉じる彼の姿


部屋に朝日が差し込みそれが私を眠りから覚ますきっかけとなり、私はベッドからゆっくりと起き上がっては部屋を見渡す
椅子は机とセットになっており机上には本があるのをみつけ寝起きと痛みで少し安定しない足をで本を確認すると紙の栞が挟んであることに気づく

本を開き栞を確認すると
【眠れない時呼んでね】
と優しいメッセージがあった

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