君を待っていた【第五人格】

贈り物を見た翌日 リッパー ページ34

草木もいつもと変わりはない、この廃れた教会も解読して揺れる暗号機も何も変わらないが、確実に一つ違う

ご機嫌な鼻歌を唄うリッパーが暗号機を解読している私の隣にいるという明白な違い
別に逃げ遅れたわけではなく、優鬼というのになっているだけである。


「そんなに疑われると流石の私でも傷つきますよA」

少し笑いが混ざってるその声に対して私は愛想なく「あっそ」と返すだけ、疑って当然だろうお前リッパーは私の中では1番信用が出来ないやつなのだから、おそらくリッパーも自覚しているだろう
言い直そう絶対に自覚している

今までしてきたことを数え思い出せばどんどんイラつきが腹の底から溢れ出し来る、気づけば暗号機にそのイラつきを発散させるかのように拳はキーボードに振り下ろされていた
キーボードに接している部分からじんわりと痛みが体につたわり少しの冷静さを私に戻してくれる

「おやおや、ものに当たっても意味が無いですよ？」

横で私の姿を見ていたリッパーは笑いが混ざった声で私にそういう

「そう言うなら何処かに行ってくださいよ、貴方がいなくなれば治まるんですから」

「それは嫌ですね」

即答しやがった
笑いを含まないその声がどんな感情を含んでるか私には分からない、顔が見えれば多少は違ったのは確実なのだが
生憎こいつは仮面をつけてる分かりやしない

「それより私からの品はどうでしたか」

…あぁあの品か、リッパーのミスにより切れた髪に対するあの詫びの品か
中身を簡単に言うと髪飾りだ、細かい模様や飾りが着いているもので一目見れば高そうとわかるものである。碌でもない物なら速攻ゴミ箱に捨ててやろうと思っていたのに自分好みのデザインということで廃棄も壊すことも出来なかった

「その顔を見るからに廃棄などしてないようで」

なんで分かるんだ、私の顔はそんなに分かりやすいのか？

「気に入れられたようで安心しましたよ、ずっと前からデザインを考えていたのですから」

……ん？ずっと前から？髪を切られたのは4日前である、そして渡されたのは昨日であり詫びの品なのなら切った後にめぼしい物を見つけそれを渡す、つまり切った後に探したとしても4日か3日前でありずっと前とは言わないだろう、雑なら言うのかもしれないが…まさかな

暗号機から視線を外しリッパーの目を見て

「髪切ったのわざとだな！！」

「バレましたか」

愉快な声が仮面の奥から聞こえた
あとこれお前の手作りかよ！！

上にいた58秒間と 黄衣の王→←髪を切られた2日後 リッパー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す