Hush-Hush-2

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現場にトラブルは付きものである.........とはよく言うが、ライブは無事スタート。

実にスムーズに公演は進みもうすぐ終盤。

私の仕事も落ち着いたので、舞台裏から抜けてステージを正面から見れるところに移動する。


現場監督的なポジションである部長を発見。












「部長お疲れ様です」


部長「おー、お疲れ。もう落ち着いた？」


「はい。という元々私、今回はなんかあったとき要員なので。笑」


部長「じゃあAがここに居るってことはトラブルが起こってないという証拠だなー」











ライブ、こうしてちゃんと見るの久しぶりだな。

仕事柄、衣装の見え方やスタイリング、動きやすさや修正点ばっかりが気になって、純粋にパフォーマンスを見れなくなってしまっているけど





_______________"俺だけ、見ててね"





ジョンハンさんのそんな言葉を思い出す。

アーティストで居るときも、そうじゃないときも知っているからこそ、こうしてステージに立っている姿を見るといつも不思議な感覚になる。


私、本当にあの人と結婚しているんだ。


そこに芽生えるのは不安という気持ちではなく、やっぱりどこか他人事のような気持ち。











部長「A、久しぶりだな。同行」


「はい。久しぶりなんでちゃんと正面から見たくて、どさくさに紛れて抜けてきました」


部長「.........衣装を見たかったのか？」


「ア、アタリマエジャナイデスカー」


部長「なんで棒読みなんだよ。笑」











まあ、今回は衣装よりも他のことを見てるからですね。











部長「正直俺も、ここに居ると純粋にパフォーマンスを楽しんでる瞬間はあるけどな」


「そうなんですか？」


部長「そりゃあ、そうだろ？あいつらのパフォーマンスに引き込まれないほうがおかしくないか？」











部長のこういうところ、結構好き。


会社の立場ある人間は、嫌われ役をしないといけないことのほうが多いんじゃないんだろうか。

頭と心ではいつも違う選択肢が同時に浮かんでいるんじゃないだろうか。

きっと、1人の人間としての選択肢よりも、会社の人間として、かず多くの不本意な選択肢をしてきた人だろうから。


そんな人が時折見せる、普通の人っぽい一面。











「部長の、そういうとこ好きです私」


部長「.........なんだよ急に」


「素直なとこ、素敵ですよ」


部長「(俺、あいつに怒られそう)」





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