【赤羽業】変人ストーカー彼女×毒舌不良赤髪

ポジティブ6 ページ8

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『改めまして！今日からE組に編入して来ました、“旧姓は”綾瀬Aです！ありふれた名字で呼ばれるのはあんまり好きじゃないから名前で呼んでくれると嬉しいな！宜しくね！』



教室に響く軽快且つ明るい声。
ついさっき迄溢れんばかりだった殺気は、最早嘘の様に消えていて。

……もしかしたらさっきのは、気の所為だったのではないかと思わされる。


それ程迄に先程の彼女の殺気は物凄いもので、……それこそ、身の毛が弥立つ様な───。


それなのに、今、こうして、颯爽とクラスに馴染み質問攻めにあっている彼女は、最後に会った時と変わっていなく───……ちょっとだけ、本当にちょっとだけ。

…………背筋が凍った。



「……………ん?!てか旧姓って何?!」



誰もツッコまないから僕がツッコんだ。普通に考えて僕等の歳で“旧姓は”とか口にする場合 施設に預けられて養子に取られたから、とか複雑な事情があったりするものだろう。

　それは皆も分かっているから、敢えて何も其処に触れなかったんだろう。


……でも、僕は知っている。───……Aさんが、“普通”と言う枠に収まらない事を……。

隣の席の茅野が「ちょっと渚！」とやや焦った声音で僕の名前呼ぶのを耳に、ジッ、とAさんを見やる。
Aさんはパチパチッと数回瞬きをした後、大胆不敵そうにニヤリと口角を上げて。



『知りたい?』



ゴクリと、皆の喉が鳴る音が聞こえる。それはつまるところの皆も“気になってた”の肯定で。
　ゆっくり、顎を引いた。
彼女がふふっと、妖しく笑う。



『知りたい、つってもそのまんまだよ。旧姓は旧姓。───結婚、してるの。カルマ君と』

「「「………ぇ、えぇっ?!?!」」」



まさかの爆弾投下。息を揃え驚く僕等を目に彼女、Aさんは『そ〜んなに驚く事?』と楽しげに笑っていて。
グルリ クラスの視線がカルマ君へと向くも当の本人、カルマ君も目を見開いて固まっていて。

カルマ君からAさんへ。再度視線の向きを変えれば今度は彼女もキョトン、と瞳をパチクリさせていて、謂わば“何を驚いてるの?”って表情。



『え、皆知らないの?未成年でも親の同意があれば出来るんだよ?』

「そうだけどそうじゃなくてね?!」

『？？式は挙げてないよ?婚姻届だけ』

「いや違くて!!」

『???』



僕の否定に心底意味が分からないとでも言う様に首を傾げる彼女。
そんなAさんを目にこれは僕が可笑しいのかと僕も首を傾げた。





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