【赤羽業】変人ストーカー彼女×毒舌不良赤髪

ポジティブ4 ページ6

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あぁ、やって終った。

目を醒まして早々。壁掛け時計を目にそんな事を思う。

カチコチカチコチ、音を立てる長針は12を。短針は9を指していて。
それ等が示すのは、幾ら寝起きの私でも理解出来る事ただ1つ。



……遅刻だ。


〜〜＊


遅刻なら仕方がない。焦っても遅刻って事に変わりはないんだからどうせならゆっくりのんびり行こう。

そう1人ノンビリと久しぶりの学校へ向かうべく電車に揺すられる事数分。満員ともガラ空きとも言えない車内からホームへと足を踏み出し、改札を通り脇に抜けたら大きく伸びをして。



『ふっ……あぁ〜〜………ん?!?!』



不意に視界の端に入った艶やかな朱色。
何で、どうして、何て色々考えるよりも先に手が出て───。


はしッと、皺の無いカーディガン。本能的にそれを掴めば、そのカーディガンの主が振り向いて。



「───……A……?」

『ぇ……あ……かるま……くん……』



振り向いた彼は、カルマ君で。久しぶりに見たその端正な顔は最後に見た時よりも大人びてて。
心臓がバクバクと音を立てる。喉が異様に渇いて上手く言葉が出ない。

……、だって、まさか本当に彼だとは思ってなくて。心の何処かで“人違い”だと思っていて。

喉が渇く。脈が速くなる。手が震える。
渇いて、渇いて、渇いて。



『ぁ……えっ……と……』

「……、久しぶり、だね。こんな時間に駅に居るって……寝坊でもしたの?」

『ぅ、うんっ！あの、えっと、ちょっと生活リズム狂っちゃって……』



あはは、と笑ってお茶を濁す。
　カルマ君に、停学の事は話してないから。彼が停学になった後、連絡を取る手段が無くなったから。そんな言い訳を心の中で吐いて。

ふーん、と興味無さそうにしながらも話を聞いてくれる所、変わってない。
彼はいつ迄経っても優しい彼の儘だと言う事実に胸の内が暖かくなるのを感じる。


震える唇を何とか動かし、声を舌に乗せたら。



『あ、あの、さ、一緒に学校……、行こ?』

＊

未だ緊張が解けてないのか何なのか。無言で歩く登校道。
久しぶりだからこそ積る話もあるんだろうけども、久しぶりだからこそ緊張と気不味さがあって。

気が付いたら、本校舎前。カルマ君が「じゃーね」って緩く手を振りこの先を歩こうと背を向けるもので、待って、と再度反射的にハシッと彼のカーディガンを掴んだ。

今日彼のカーディガンを掴むのは2回目か。



『……一緒に……行っても良い?
私も今日からE組なの』





＿＿＿*

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