心優しいヤンキー君。 ‐YG‐

優しさ、１１。 ページ11

息を潜めて、座り込む。
そうして ユンギ君が公園から出ていくのを待っていると、





悲劇……



いや、

今思うと この子犬のお蔭だったのかもしれない。









．









．









．









「 ＿＿なんで、お前 ここにいんの？ 」



頭の上で聞こえた声に、思わず頭を上げる。









『 ユンギ、くん… 』




どうして？



そう聞くと、





子犬がユンギ君を私のところに連れてきたらしい。









「 んで、こんな夜遅くに公園なんか来てんじゃねぇよ

家出少女かっての… 」




ユンギ君は、危ないから

きっとそう思って、心配して言ってくれたんだと思う。



けど、








“ 家出少女 ”




その通りすぎて、

なんだか悔しくなった。









『 ＿＿ユンギ君もでしょ 』


「 は？ 」



『 ユンギ君だって、こんな遅くにここに来てるじゃん。 』




その言葉を聞いたユンギ君は、

一度 深くため息をつくと、ゆっくり口を開いた。




「 ＿＿俺、家族いねぇの


帰り際、ポチ公見っけて……… 」



その先をなかなか言わないユンギ君に痺れを切らしていると、









「 ＿＿エサ、とか …大丈夫かな、って…… 」






『 えさ…？ 』




返ってきたのは、ユンギ君らしい

優しい、答えだった。








でも、



“ 家族がいない ”




それを聞いて、


急に家族への申し訳なさが募った。





転勤なんて、お母さんも
お父さんだってつらいに決まってる。


少しは勉強してるだろうけど、

知らない言葉を話す場所で


１から生活していかなきゃいけないのに








＿＿ 私は、“それ”から逃げ出したんだ ＿＿









．









．









．








「 っ…、 マジで




＿＿なんで泣いてんの… 」








『 っごめ、なさ… 』





私は、家出少女みたいに
固い決意を持って家を出たわけでもなければ、



無一文で生活もできない。





＿＿ただの 弱虫だ。

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