大事なひと。《 JW赤 × JW緑 》

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仕事をバッチリ終わらせて、トイレの鏡で髪型やネクタイを確認して気合いを入れて会社を出た。

目の前の花屋になんてすぐ着くから、すでに心臓はばっくばく。......だったんやけど。





「......照史、俺帰ってもええ？」


『何言うてるん！はよ行けや！』


「せやかて...！無理やって！あんなん見せられたら！」


『今朝の勢いどこ行ったん！！』







道を渡ればすぐそこに神山くんは居るのに。

隣に居るイケメンのせいで、俺の自信は物凄い勢いで吹き飛ばされていった。

背が高くて、横顔しか見えへんけどサングラス似合うし服装もめっちゃオシャレやし、なによりオーラがちゃうし。

てか、なんや、あいつ見たことあんねんけど......。





『......あぁ！！！』


「うるっさ！なんやねん！」


『しげ、あいつあれやん！ほれ！』


「えっ......あっ」






照史が指さした方向には、前に照史が企画を依頼された大手化粧品メーカーの看板。

CMイメージをそのまま看板にした花に囲まれた人気俳優が微笑みかけている。そいつが！！今神山くんとお喋りしてるんや！！





「なんか見た事あると思ったら...」


『そういや、あのCMで花使うんにもんちに頼んでセッティングやってもろうたわ...』





え、じゃあもしかして...

そん時に神山くんに惚れて会いに来たとか...？

実はもう付き合うてるとか...？





悪い予感ばかりが、頭の中をぐるぐるし始め、勝手に落胆して。ホンマに今日はもう帰ろうと思ったんに。

ふと感じた違和感が、俺の帰ろうとする心を引き止めた。



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