第9章〜入れ替わりの1日〜 ページ8
ああ、恐ろしい程に不毛だ。
授業中。頬杖をついて前に立つ徹を見つめる。見つめるというか睨んでいるの方が正しいのかもしれないが。
座学の時間はほとんど3年が担当するらしい。そしてその代表が徹。
それにしても暇だ。授業でやっているだいたいの事は既に知っている事だらけ。
蒼海Aに戻るのはあと1時間ある。次も座学。
つまり何が言いたいかというと授業をサボってしまいたいという事。
ため息をついて机に突っ伏してしまいたい。が、既にえええ……とでも言いたげな顔で徹がこちらを見ているのでさすがに出来ない。
「……蒼海ちゃん、授業嫌なのは分かったからノート開くぐらいはして?」
ジト目でこちらを見ながら徹は言った。机を見て、ノートを開いていなかったことに気づく。
「……あ、すみません」
「謎の間は何!?」
うるさい。そんな叫ばなくても聞こえるから。こうなるなら入れ替わり制じゃなく普通に乗っ取るだけにしておけば良かった。
そんな事を考えながら、開いていなかったノートを開く。それほど綺麗とは言えないような字が並んでいる。
入学してから既に数ヶ月は経っているのに、ノートのページは筆記試験の時のもの以外ほとんど使われていない。
そんな暗記が得意な訳でもないのに、何故ノートを書かないのか。結局蒼海Aという人間は面倒な事が嫌いなのだろう。
むしろ座学の時間は全て無駄だと思っているのかもしれない。
私もじっと座って物事を聞いて、それをひたすら書く、というのはあまり楽しいと思う事ではないと思う。が、それによって得るものもあるのだ。
少しぐらい、ノートに話している内容を書き写してもいいかな。そう思って、シャーペンを握った。
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作者名:凛花 | 作成日時:2017年1月9日 16時