3話 ページ3
それから一ヶ月ほどが過ぎ、番からの愛を失って初めてのヒートが訪れた。
どうやらここ最近番に会っていなかったのが災いしたようで、ヒートはいつもより強いものだった。
ふらふらとベッドに歩み寄り、そのまま倒れこむ。
かろうじて体勢を動かし、Aは眠りについた。
◇ ◇ ◇
「はぁ……っん、は……」
自宅のベッドの上で、Aは死にかけていた。
番と別れた後のヒートはあまりに強く、動くことすらままならなくなっているのだ。
腹はひっきりなしに鳴るし、喉はカラカラ。
額には汗が浮いていた。
ヒートで動けなくなって、もう4日を数える。
さらに、家には理鶯の私物が一切なく、巣作りのできない苦しさがAを襲う。
「り、お……理鶯……」
番を呼び、動かす手も、虚しくシーツを掴むだけ。
Aの体力も精神も、限界を迎えようとしていた。
もう目も開けていられなくなって、体内の残り少ない水分が、涙となってAの頬に二筋、跡を作る。
意識を手放しかけた時、玄関の扉が荒々しく開かれる音がした。
鍵を閉め忘れていたのだろうか。
なんにせよ、Aにそんなことを考える気力は、もう残されていなかった。
「Aッ!!!」
その声が聞こえた時にはもう、Aは意識を失っていた。
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狼鬼(プロフ) - 何回も読み返すほど悲しくて、でもとても素敵な作品です。完結するまでずっと待っています。無理をしませぬようお気をつけください。 (2021年9月10日 22時) (レス) id: 8a6b913a72 (このIDを非表示/違反報告)
龍牙(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます!ありがとうございます!! (2021年1月26日 16時) (レス) id: 6c80c43520 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結まで追い続けます! (2021年1月25日 12時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
龍牙(プロフ) - マームさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉ありがとうございます!!なかなか更新できていませんが、頑張らせていただきます!! (2020年6月28日 10時) (レス) id: 6c80c43520 (このIDを非表示/違反報告)
マーム - めっちゃ好みすぎて何回も読み返しています!!更新頑張ってください!! (2020年6月24日 23時) (レス) id: 12bdf0a400 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:龍牙 | 作成日時:2019年5月11日 19時