【第37話】この気持ちの真相は ページ39
まさに俺得、否私得な状況下で、私はAさんの背中をﾎﾟﾝﾎﾟﾝと撫でながら暫く過ごしていた。当のAさんはというと、時折寝返りを打つようにもぞもぞと身体を動かしながら、見るものの毒気を抜くような優しい寝顔を見せていた。
赤みがかった茶髪は、彼女が寝息を立てる度にふわっ…と細く、柔らかに揺れている。そして私の視線は、自然と静かに息を吐いている彼女の唇へと向いていた。
桜色の、薄く半開きになった唇＿＿。
……何なのでしょうか、この気持ちは……Aさんを見る度に、胸が苦しくも温かい気持ちになります。ずっとこうしていたい。誰にも邪魔されずに……
prrrrrrr
鬼灯)「！！」
この無機質な音により、夢見心地な気分が一気に吹き飛んで現実へと戻されてしまった。
全く、誰でしょうか空気が読めない阿呆は……
心の中で悪態をつきつつ自身の携帯……基、ガラケーを開いてそのディスプレイを見る。そこに表示されたのは「アホ大王」の文字だった。ああ、閻魔大王ですか。全く、何か問題を起こしたのでしょうか……そうじゃなくても取り敢えず絞める。
鬼灯)「どうしました？大王。私は今、忙しいのですが…」
閻魔)『え？あぁ、ごめんね鬼灯君。でもね、今すごく大変なんだ。来て欲しいんだけど』
やれやれ、何でもかんでも私に回してくる……
仕方ないですねぇ。
鬼灯)「＿＿わかりました、不本意ですが今から行きます。ええ、不本意ですが。取り敢えず首を洗って待ってろ」
閻魔)『え、何でそんなに怒ってるの鬼灯君！？しかも不本意って2回も言ったよね！？』
ｷﾞｬﾝｷﾞｬﾝと受話器越しに叫ぶ閻魔大王の声を尻目に、そのまま通話終了ボタンを押した。今の通話の声でAさんが起きてしまわなかったか心配だったが、彼女はぐっすりと眠りについたままだった為少し安心だ。
鬼灯)「よ、っと……」
再度彼女を起こさないようにベッドに運び、そのまま横たわらせた。本当に気持ちよさそうな寝顔です、見ていて飽きません。
鬼灯)「＿＿おやすみなさい」
Aさんの唇に触れるか触れまいか、そのぐらいの場所に指を滑らせつつ彼女に毛布を掛け直して部屋から出た。大王の元に歩みを進めるものの、意識は完全に別の場所へと行っていた。
早まる鼓動の訳は、一体何なのでしょうか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - すみません！3シリーズを見たいのですがパスワードを知りませんので教えていただけないでしょうか？ (11月9日 11時) (
レス) id: f05f2119f4 (このIDを非表示/違反報告)
あいもん - 続きが気になりすぎて寝れません。パスワード教えてもらえますか。 (2021年1月10日 18時) (レス) id: 8700edf818 (このIDを非表示/違反報告)
sky☆(プロフ) - 琴魅さん» ありがとうございます！頑張りますね^ ^ (2015年7月24日 6時) (レス) id: 9f11fcf1ca (このIDを非表示/違反報告)
琴魅 - 楽しみにしています！ (2015年7月24日 0時) (レス) id: e94cb77da7 (このIDを非表示/違反報告)
sky☆(プロフ) - 案をありがとうございます！OKです。本編が少し落ち着いたら、番外編を書かせていただきます^ ^ (2015年7月23日 23時) (レス) id: 9f11fcf1ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sky☆ | 作成日時：2015年3月7日 8時
